<コラム・莫邦富の情報潮干狩り>中国で跋扈するニセ日本製品の仮面を剥がせ

莫邦富    2020年11月27日(金) 13時20分

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海外旅行に手軽に行けるようになって十数年も経った今、中国の若い世代は安全・安心をモットーにするイメージの強い食品を含む日本製品に対して全幅の信頼を寄せている。

2009年、中国EC最大手のアリババは、結婚難による独身者の悩みやストレスを解消するために、1が4つも並ぶ11月11日を「独身の日(光棍節、シングルデー)」に決めて冗談のつもりで自社のECサイト「Tmall(天猫)」をプラットフォームにして大規模なセールを始めた。それが大当たりし、今や中国全土でセールが行われる日となり、すっかり晩秋を飾る風物詩となった。独身の日のセールは「双11」や「双十一」「W11(ダブルイレブン)」などと表記され、親しまれている。

今年の「独身の日」セールの流通取引総額(Gross Merchandise Value、以下GMV)は、アリババ1社だけで4982億元(約7兆9000億円)で、2019年に記録した2684億元(約4兆2600億円)の2倍近くに達した。アリババに次ぐ大手ECサイト、JDドットコム(京東商城、JD.com)を運営する京東集団の取引を合わせると、上記2社合計の2020年のGMVは、前年比62.8%増の7697億元(約12兆2000億円)となった。「独身の日」セール期間中に、アリババの倉庫では、商品の仕分け作業のため、約1000台ものロボットが稼働し、11日午後11時の時点でまとめた商品配送件数は22億件に達したという。

ちなみに楽天の19年度国内EC取引総額は3兆8595億円だ。両者を比べると、消費市場としての中国市場の魅力と規模の大きさは強烈な印象を与える。海外から中国への越境ECにおける国・地域別取引額ランキングでは、日本が1位を獲得。16年から5年連続1位となると報じられた。

■急速に高まった中国人の食の安全への関心

海外の商品を求めるユーザーは1990年代生まれで海外旅行が好きな若者が半数近くを占め、コスメ、ベビー用品、健康食品、アパレルなどの商品が求められる。食品分野では、カルビーがランキング10社の中で2位に上がっている。

今世紀に入ってから食の安全に対する関心が中国では急速に高まっている。2007年にダンボールを具材にした肉まんや赤インクを注入したスイカといったショッキングな話が中国のメディアで取り上げられ、日本のメディアもその報道を追従する形で次から次へと取り上げた。その後、ダンボール肉まんは、実はテレビ局の社員が作ったやらせ番組だったということが判明したが、中国製食品への中国消費者の目線はむしろますます厳しくなる一方だ。

今世紀初頭、湖南省の省都・長沙市にある日系のデパート、湖南平和堂本店(五一広場店、1998年11月に開業)を数回取材した。最初に訪れたとき、百貨店内で出会った老夫婦の言葉がいまでも鮮明に記憶に残っている。60歳以上と思われる2人はごく普通の年金生活者にしか見えなかった。おじいさんは手に持っていた、質素としか形容できないかばんを開けて、中身を見せてくれた。中には水が一本入っていた。「私たちはここが好きです。普段、1本の水を買うにしてもここに来ます。何も買わないときも、こうして店内をぶらぶらするのが好きです」。2人は口を揃えてそう教えてくれた。

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