中国の先進技術と日本の匠の精神を結び付ける伝承者―鄭継飛 ソフトユージング代表取締役社長

日本華僑報    2019年12月11日(水) 10時40分

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東京で5年という短期間で企業を急速に成長させ、従業員のために3棟のビルを建てた華人のIT企業の社長がいる。

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1990年代のはじめごろ、近代化はまだ青写真の上の美しい目標に過ぎず、日中両国の間には数十年から百年ほどの成長の差があった。仕事の中で触れた日本から輸入された機械は精巧に設計され作られており、そのたびごとに彼は内心大きな衝撃を受けた。「見た目は細かく精巧なのに、強力な性能を持っている」。両国の差は大きく、当時の中国製造業のレベルからはとても想像がつかなかった。彼は深く心を動かされた。

未知の世界に対する尽きない探求心と優れた手本を見習う進取の志が、彼を安定した仕事と厚い待遇にとどまらせなかった。日本の技術とデザインはどうしてこんなに素晴らしいのか。どうしたら追いつけるのだろうか。そんな疑問が毎日彼の頭の中で湧き上がってきていた。

外国の技術を師とし外国を制す。150年以上前、この言葉が高杉晋作など幕末の志士たちを覚醒させ、明治維新という時代の変革を引き起こした。150年後、同様の声が鄭継飛の心の中で激しく繰り返されていた。海外に出て見てみよう、という思いが生まれると、彼はもうとどまってはいられなかった。仕事を始めて間もない彼には貯金もなく、借金をして海を渡ることにした。

「日本に渡って成功する」ところから、自身の核心的製品を作り出すまで、困難な道を歩み、アップダウンや迂回をしつつ、決してあきらめずに、ついに佳境にたどり着いた。鄭継飛は続けて、彼と彼の華人技術チームが日本のある大型ショッピングモールのために開発し、AI技術の結合したビッグデータとクラウドコンピューティングの一連のサービスについて語り始めた。そのシステムは顧客の顔情報を読み取り、ビッグデータの分析で正確に顧客の消費能力を決めるもので、これにより関連商品と情報を推薦し、顧客のショッピング体験を向上させるだけでなく、売り込みの正確性も向上させるものである。

同社はさらに、旅行アプリの中にデータクラウド技術を導入し、正確なデータ分析と日本式の人間本位のサービスとを結合させ、同時に集約的、高効率な管理を実現させた。分かりやすく言えば、ユーザーが予約したホテルに到着後、AIの認証技術で自動的にチェックインとチェックアウトの手続きができ、人員の節約と人件費の節約ができる。顧客のチェックイン後、水道や電気の使用量を正確に収集し、バックオフィスは対応する優遇措置を推薦し、プレゼント贈呈や宿泊費のディスカウントの方法で顧客に環境保護意識を持ってもらう。それにより、企業の省エネによる収益アップと持続可能な成長という環境政策とが連携でき、顧客は実利も得られ、互いにウィンウィンの効果がある。

今となっては髪に白いものが交じるようになった鄭継飛であるが、勇敢に前向きに努力する心はまったく老いてはいない。創業以来、彼はずっと一番長く会社にいる社員であり、つらくて忙しい運命だと自らを冗談めかしていうが、いわゆる運命は確実にその足跡を刻んでいるのである。

▼チャンスを提供し、人材を育てウィンウィンを実現する

大きな借金を背負って来日した青年の鄭継飛は、苦労も味わった。緊張して学びながら、いくつかのアルバイトを掛け持ちし、あまりのプレッシャーの大きさに彼は卒業をあきらめ、日本企業に就職した。その後、彼は自身の能力と人柄で、日本人社長の信頼と信任を得て、技術から市場へ、点から面へ、最終的には会社全体の運営を任されるに至った。回転が早く勤勉で、チャンスをつかむのに長けている彼は、彼を助けてくれた一人一人に感謝している。彼はチャンスとビジョンの重要性をよく理解しており、ゆえに先見の明の持ち主たるギリシャ神話の神・プロメテウスになりたいとも思っている。


ここ数年、忙しい仕事の合間に、彼は時間を作って上海や大連などで講義をしており、ケンブリッジ学院、大連外国語大学などで彼の経験、知識を伝えている。小さな火花がやがて広い野原を焼き尽くすように、彼の希望は自身の力によって、さらに多くの若者に外の世界を知ってもらい、彼らに選択のチャンスを与えたいと願っている。

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