内藤 康行 2020年9月1日(火) 10時20分
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中央政府および地方政府は、あらゆるレベルの給水問題を非常に重視し、給水施設の建設を都市インフラの建設と見なしている。写真は中国の農村。
■水ビジネス市場規模
2016年、都市の公共給水総合生産能力は1日当たり2億9100万トン、総生産能力の79.1%を占めた。2020年末には都市の給水総合生産能力は1日当たり3億1111万トンに達する見込みで、都市の給水総量は613億トンに達すると予測されている。 「十三五計画(2017-2020年)の建設市場規模は414億元(約6283億円)、同計画の中間および後期段階における、運営市場規模は5200億元(約7.9兆円)に達する。汚水市場は2016年現在、全国の都市(計画建設鎮を除く、都市を含む)の汚水処理能力は既に1億8180万トン、年間の汚水処理量は541.9億トンに達する。汚水水処理率(処理量/排出量)は92.8%となった。
2020年末までに、都市汚水処理施設の年間処理能力は679.4億トンに達し、都市汚水処理能力は1日当たり21216トンに増加すると予測されている。国家生態環境部計画研究所と国家情報センターが発表した「2008年〜2020年の中国の環境経済状況の分析と予測」によると、処理レベルが常時引き上げされるとして、「十三五計画」期間の廃水整備への投資(整備投資と運営費を含む)は1兆3922億元(約21.1兆円)に達し、確立された管理目標の下での、「十三五計画」期間中の廃水処理への投資規模は1兆5603億元に達すると予測される。
■中国の給排水産業の成長分析
一、給排水産業の成長分析
2016年1月から12月にかけて、中国の水ビジネス産業の主な事業収益は2075.7億元(約3.15兆円)で、前年比9.4%増だった。業界全体の利益総額は199.9億元(約3034億円)で、前年比14.3%増となった。水ビジネス産業の粗利率は24.7%で、前月比で0.2%減少した。水ビジネス産業の売上高利益率は9.6%で、前月比で0.5%増加した。
2022年の売上高は3299億元(約5兆円)に達すると予想されている。ここには、長江流域の大洪水被害による経済影響は反映されておらず、上述の様な数字は大幅な下方修正は避けられないだろう。
二、給排水産業の製品価格状況
現在、中国の給排水企業の多くは中小企業が中心で、先進国に比べると技術や設備に大きなギャップがある。一般的にローエンド製品が主で、低価格に偏っており、大方の企業は薄利である。
三、給排水産業の投資状況
新「環境保護法」の施行以来、各地では汚水排出への厳格な検査を実施し、改革への要求が高まっている。事例では、河南省威利県の吉利化工公司は最近、環境保護局に押収され、法定代理人が行政処分となり拘束された。これは河南省の新「環境保護法」に基づいて調査および対処された違法な汚水排出の最初のケースとなっている。また湖北省環境保護局は環境監察通知を発行し、 羅田永飛化学工業の不当な廃水直接排出に「生産停止と業務改革」処分の通達をした。
以上の事例からも、「水十条」による各種措置に伴う投資額は優に2兆元(約30兆円)を超えると予測される。が上述した様に、大洪水被害による経済ダメージで大幅な下方修正は避けられないだろう。
■筆者プロフィール:内藤 康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。
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