<コラム>中国企業で働く日本女性のリアルな姿

鈴木由希    2018年11月7日(水) 12時30分

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認定NPO法人東京都日中友好協会が、東京ウィメンズプラザにて、「東京の中国企業で女性はどのように働いているか」をテーマにパネルディスカッションを開催しました。写真は筆者提供。

また、中国人は何か問題があるとその場で解決する。本人へのアドバイスも直接言います。言葉がきついと感じることもありますが、あと腐れはありません。日本人の「後で言おう」は基本的に通用しません。また、会議などではとにかく自分の意見を言うことが大事です。後から言っても、「なんでその時言わないの?」となります。

(4)臨機応変な対応力

直前でプランがひっくり返ることもあるので、臨機応変な対応力が身につきます。

(5)必要なスキル

コミュニケーション能力が非常に重要です。伝えようという気持ちが大切。

ここからは、筆者の個人的な経験もふまえて話をしたいと思います。筆者は2017年、中国に本社がある越境ECサイト運営会社の日本窓口で勤務をしていました。すでに転職しましたが、中国企業で働く日本女性だったわけです。私の勤務していた企業の場合、サイト開発機能やマーケティング機能は中国本社にあり、日本窓口の主な業務は、市場開拓と既存取引先のフォローでした。中国企業と日本企業の間の調整はとても難しいものです。上述の通り、仕事の進め方が根本的に違うので、慎重に進めたい日本企業に対して、スピード感を重視する中国企業はもどかしさを感じます。また、とりあえずやってみようと、十分に検討がされていない状態でもサービスインしようとする中国企業に対して、完成度と質を重視する日本企業は理解に苦しむわけです。この手のすれ違いが日常的に発生します。

中国語能力については、ディスカッションの中では必要不要の意見が分かれましたが、筆者個人は必要だと考えています。もちろん企業、業務内容にもよると思いますが、中国本社と日本クライアントの中に入って調整するとなると、互いに言った言わないの論争も日常茶飯事です。両国の文化と言語を理解し、正確に相手に伝える必要があるのです。日本企業はミーティングの際も建前で話をするので、本心が中国企業に伝わりません。言葉の裏側を推測する、ということはないのです。中国企業ははっきりと要望を言いますが、日本企業が下手に「検討します」なとど回答してしまうと大変です。

日本人同士であれば「検討します」=「あまり可能性がないのかも」となりますが、中国企業は言葉の通り、本当に考えてくれるのだと受け取ります。この手のトラブルは非常に多いと思います。そのため、お互いの思いを的確に言葉にして共有できるようにする言語能力が必要になるのです。ただ、この点については、コミュニケーション方式の違いということも多分にあるので、相手に伝わるように話をするためのコミュニケーション能力も非常に重要です。これについては、パネラーの皆さんと全く同意見です。

中国企業で働いていたあのころ、毎日言葉の壁や商習慣の壁を感じ、自分の能力の及ばなさに挫折し、苦しかったことを覚えています。しかし、当時の環境は、自分自身を大きく成長させてくれました。筆者は、物事を先送りにしがちな所があったのですが、スピード感やレスポンスの速さ、決断力は、中国企業から学んだものだと思っています。しかし、よくよく冷静に考えてみると、これらのことは中国企業だから特別なわけではなく、日本企業でも必要とされる基本的なコミュニケーションであり、ビジネスマナーです。筆者は現在日本企業で働いていますが、母語同士であってもコミュニケーションがうまくいかないことはあります。相手に誠意をもって伝えよう、受けとろうという姿勢は、どんな国や地域の人に対しても同じことなのです。

長くなりましたが、中国に興味があって、中国企業で働いてみたいという方には是非挑戦してほしいと思っています。もし、ついていけずに辞めてしまうことがあっても、必ずご自身の大きな財産となるはずです。そこで得た経験をバネに新たな世界にどんどんチャレンジすればよいのです。偉そうな文章になってしまい恥ずかしい限りですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

■筆者プロフィール:鈴木由希

東京出身。台湾への留学を機に中華圏のエンタメに興味を持つ。現在は、中国ビジネスに携わりながら、個人で中華圏エンタメ専門情報サイト「チャイナブルー華藍網」を立ち上げ、SNS等も活用しながら情報発信中。

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