「お降りのお客様は飛び降りてください」=中国で高速鉄道をめぐる争いが表面化

月刊中国ニュース    2017年11月5日(日) 16時0分

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北京と九龍を結ぶ「京九高速鉄道」をめぐり表面化した地方都市の争い。そこには中央と地方政府、そして住民の網の目のように絡み合う目算と思惑があった。写真は河南省を走行する高速列車。

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国家発展改革委員会総合運輸研究所の董焔曽研究員は、すべての地区が高速鉄道の建設に適しているわけではなく、人口が少ない貧困地区などでは数十年経ってもコストが回収できず、かえってデメリットの方が多いと述べる。「しかしながら、地方政府は高速鉄道プロジェクトの誘致成功を業績として考えているし、一部住民も『騒いだもの勝ち』と思っている節がある。このため、招致合戦は激しさを増すばかりだ」。西南地域のある省の鉄道建設弁公室で鉄道プロジェクトに多く関わってきた職員は『中国経営報』に対し、高速鉄道のルートおよび沿線の駅設置に関しては、まず鉄道部門が専門家に設計と調査を依頼するが、当該プロジェクトから近い場所にある鉄道調査設計院がその業務を担当するのが一般的だと語っている。

「設計院による路線の確定後は、中国鉄道総公司鑑定センターが、安全性、走行速度、建設費用、さらには建設スピードなどの要素に基づいて判断を下す」と話をつなぐのは中国工程院の王夢恕氏。「地方政府が路線や駅設置についての意見を提出することは当然可能だが、鉄道幹線の建設における決定権は、やはり鉄道部門にある。管轄区域内の支線であれば、地方政府の発言力はそれより大きくはなるが」。前出の鉄道部科学研究院の元責任者によれば、高速鉄道駅の選定においては、鉄道網建設計画から見た駅設置の合理性、地域の発展計画、地区からみたその都市の地位と役割、旅客の流動状況、都市周辺の他の輸送道路といった要素を考慮する必要があるという。

さらに、駅同士の間隔が広すぎれば乗客にとって不便であり、逆に近すぎれば運行速度と乗車時間に影響が出るため、総合的な判断が要求されるともいう。「鉄道ルートと駅の選定は計画の要であり、多面的な配慮が必要な上に制約も多い。発展改革委員会の審査専門家グループは全線にわたる調査に加え、現地政府や住民の意見を幅広く聴取しなければならない。さらに、審議会では地方政府と真摯な意思疎通と意見調整をおこない、可能なかぎり各方面の利益に配慮し、最終的な合意に至る必要がある。意見の不一致が生じた場合は包み隠さず発展改革委員会に報告し、委員会による調整・審議にかけなければならない」。

鍾章隊教授は、「あらゆる問題を一本の鉄道路線で解決することは不可能。投資を増やし、都市間鉄道を建設するなどして線状から網状へと鉄道を広げ、より多くの都市のニーズに応えていく、これが今後の高速鉄道発展の方向性だ」と考えている。両会での政府活動報告によれば、今年は全国鉄道建設計画完遂のために8000億元が投じられるという。また、2月に国務院が公布した「『第13次5カ年計画』現代総合交通運輸体系発展計画」では、2020年までに、常住人口が100万人を超える都市の8割以上を高速鉄道がカバーするという目標が掲げられている。(提供/月刊中国ニュース)

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