山口 康一郎 2017年4月22日(土) 11時20分
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今、中国は、バブル、景気、外交でかなりきつい状況になっている事は周知のとおりである。特に北京、上海など大都市の不動産高騰はバブル崩壊の危険性を常にはらみながら 政府がいろいろな規制、指導をしても止まらない。写真は河北省。
シンガポールの華字紙も「中国は深セン経済特区を設立して改革開放をスタート。上海浦東新区で一部に限っていた対外開放を世界に向けて全面的に開放させた。雄安新区はそれに続くものである」と伝えている。
英国紙も「中国南方の珠江デルタ、長江デルタは経済成長のトップを走っているが、北方にこのような注目される存在はなかった」と説明し、雄安新区は北京から剥離(はくり)された産業の受け入れ先ではなく、京津冀(北京・天津・河北省)地域あるいはさらに広い範囲に発展活力をもたらす意義がある」と伝えた。
さてポイントはここから、この新特区の発表にさかのぼること1週間前の3月25日に 国家金融・発展実験室の李揚理事長が、中国の多くの都市で不動産がこれ以上値上がりすることはあり得ないと発言した。
「中国では現在、十数カ所の都市で住宅価格が上昇しているが、大部分の都市ではもうこれ以上値上がりすることはあり得ない。現在の都市ごとの規制政策は不動産リスクに対応する効果的な方法だ。銀行の観点から見てもこれは良いことだ。多くの事柄をさらに研究する必要があり、中国の不動産はもうすぐ崩壊して、中国経済の崩壊につながるというというのは言い過ぎだ」と主張している。
この発言がなぜ、このタイミングだったのか?そうである、新区の発表を控えての発言だと思うのである。
■国家事業として雄安新区をつくり開発する。
■同時に北京周辺の地価高騰を抑制する規制をする。
■大都市の不動産投資熱を新区にそらす。
■新区は過去のバブルの再発を教訓にしたコントロールをしながら開発する。
■同時に他地域の開発もこれに準じた発展方式に確立させる。
■上記過程において内需を拡大させ、景気回復も目論む。
一石二鳥どころか、そんなにうまくいくか心配になるようなうまい話ではあるが 真剣に取組んでいることは間違いない。実現させなければ、中国の未来はないからだ。
ネット上では「値上がりするはずないのになぜ規制するのか」「短期的には価格が安定するが長期的には値上がりする」「つまりもっと値上がりするということじゃないのか?」「不動産価格が上昇しているのではなく、貨幣価値が下がっているのだろうが」「中国経済が崩壊するだって?それは、ちょっと言い過ぎだと思う。その前に政権が崩壊するに決まっているだろ」といろいろな言われようではあるが、実のところ、この施策は、今日の明日のという速効力はない。イメージ先行である。
ただ、中国政府は、国内外の過去の失敗事例を学習することには長けている。過去の失敗事例を繰り返さないように腐心している。その点はとても凄いと感じる。
という事で、今度の特区は、強い規制をしながらの開発になることは 間違いない。
そうなれば、これまでの放置され高騰して問題になるような不動産投機は、出来ないで
あろう。
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