<コラム>なぜ中国のサッカーは強くなれないのか、学生たちの意外な回答

浦上 早苗    2016年8月13日(土) 16時20分

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前回のコラムでは、中国のサッカーが弱い理由について、日本人なりの分析を紹介した。では当の中国人たちは、どう考えているのだろう。写真は南京のサッカーチーム。

前回のコラムでは、中国のサッカーが弱い理由について、日本人なりの分析を紹介した。では当の中国人たちは、どう考えているのだろう。

ロンドン五輪が開催された2012年に大連の大学で日本語を教え始めた私は、ある日の講義で、元日本代表監督の岡田武史氏が中国のプロリーグの監督に就任したことを紹介し、「中国のサッカーはなぜ弱いか」というレポートを100人の学生に書いてもらった。

学生の“解”は多種多様だったが、共通していた指摘は、私たち日本人には全く想像がつかないようなものだった。

「中国のサッカーが弱いのは、腐敗が原因だ」

当時はまだ習近平が国家主席として反腐敗活動に取り組む前で、国の腐敗も今ほどはクローズアップされていなかったこともあり、私は学生たちのレポートを見て、「これが中国人の思考回路か!」と衝撃を受けた。

レポートでは、腐敗の具体的な内容として以下のような例が挙げられていた。

・サッカーは賭博の道具であり、試合が操作されている。

・監督が上海出身なら、上海出身の選手が選ばれる。どんなに能力があっても朝鮮族はレギュラーになれない。(これを書いた学生は朝鮮族だった)

・金を払わないと試合に出られない。

・試合以前に、ユースのクラブに入れるのは金持ちだけだ

・中国は学歴社会であり、勉強ができない子供に、仕方なくスポーツをさせる親が多い。

・サッカー協会が腐敗しているので、何をやっても無理。

どこまで本当かは定かではないが、少なくとも中国の若者は、自国のスポーツには“スポーツマンシップ”や“フェアプレー精神”は存在しないと考えている。しかし同時に、中国ではサッカーは卓球バスケと並ぶ人気競技であり、彼らは欧州の試合を大声上げながら観戦しては、「なぜ中国のサッカーは弱いのか」と不満を高めるのである。

もちろん日本のスポーツ界にも八百長も賭博もあり、時々大きなニュースになる。

しかし、日本人はスポーツの腐敗を目にしたとき、「けしからん」と拒絶反応を示すのに対し、中国人は「やっぱり」とどこか受け入れているように見える。

中国人にとって、腐敗というのは良くも悪くも、国の隅々まで浸透した文化なのだ。

■筆者プロフィール:浦上早苗

大卒後、地方新聞社に12年半勤務。国費留学生として中国・大連に留学し、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のメディア・ニュース翻訳に従事。日本人役としての映画出演やマナー講師の経験も持つ。

■筆者プロフィール:浦上 早苗

1974年生まれ、福岡市出身。早稲田大学政治経済学部卒業、九州大学大学院経済学府修了。大卒後、地方新聞社に12年半勤務。その後息子を連れ、国費留学生として大連に博士課程留学…するも、修了の見通しが立たず、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のニュース翻訳に従事。頼まれて映画に日本人役として出たり、マナー講師をしてみたり、中国人社会の中で、「日本人ならできるだろ」という無茶な依頼に、怒ったりあきれたりしながら付き合っています。マスコミ業界の片隅に身を置いている経験から、日米中のマスから見た中国社会と、私の小さな目から見たそれの違いを少しでもお伝えできれば幸いです。

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