〈新時代の新疆ウイグル自治区9〉継続こそ重要、40周年記念講演と答礼宴

小島康誉    2023年12月9日(土) 16時0分

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新疆で相互理解活動を継続して40年、記念講演は拍手と笑いの1時間余。

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日中/中日関係は冷え込んでいる。11月16日(現地時間)、岸田文雄首相と習近平国家主席が1年ぶりに会談し改善へ一歩踏み出した。国交回復した51年前、30年前、20年前、10年前とは時代は変わっている。「新時代の戦略的互恵関係」が求められよう。日中/中日関係に限らず外国との関係は難しい。ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルパレスチナ戦火などがそれを如実に示している。新疆についても一部のネガティブ報道で誤解されている部分も少なくない。そんな状況の中、コロナ禍明けを待ち9月新疆訪問。

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中国共産党中央政治局委員で新疆ウイグル自治区トップの馬興瑞書記と会見、新疆ウイグル自治区政府の艾尓肯・吐尼亜孜主席による歓迎宴、新疆文化観光庁長夕食会、ウルムチ・コルラ・ルオチェン・チエモー・ミンフゥン・ホータン・カシュ・アクス・クチャ・ハミの各地政府による送迎・希望通りの視察・夕食会、タクラマカン沙漠一周鉄路完全乗車、新疆政府外事弁公室主任「中秋節」見送り宴…。

政府の高級官僚でも大企業の経営者でもない庶民に、日中/中日関係が冷え込んでいる中でも上記のような厚待遇。それは馬興瑞書記や艾尓肯・吐尼亜孜主席の発言のように「40年にわたり新疆の発展に関心を持ち、教育・文化事業発展に大きな援助を行い、日本で新疆への理解促進に努力し、相互交流と合作に尽力した」「古い友人で新疆の多方面に多大な時間と資金と知恵を投入した」からであろう。

クイズ「新疆学生訪日団の上野での写真に妻がいる、何処?」。正解者に「五星錦」ジグソーパズル渡す

講演途中には質問も度々出た。新疆博物館の大会議室は満席

相互理解の継続こそ重要。新疆博物館での記念講演「新疆各族人民と小島康誉」では1982年以来の国際協力を具体的に紹介した。修復保存協力開始27年後に世界遺産となったキジル千仏洞、共同調査開始7年後に中国の国宝中の国宝を発掘したニヤ遺跡調査、累計4679人(※)に達した新疆大学奨学金、計40余りの代表団派遣と招聘、20件余りの日中仲介…。いずれも新疆の人々とリスペクトしあって実践してきた。PPTが映し出す大量の写真は約200人の心に響き拍手度々。飾った言葉でなく事実を示す写真の力。40数頁の写真中心の中文『講演資料』も配布。表紙にQRコードも付けたので、今後の広がりも期待できる。

講演終了後は『講演資料』にサイン希望次々

QRコードで『講演資料』日文版・中文版。帰国後に「3週間活動概要」日文・中文も追加した

聴衆の殆どは若者、記念写真も求められる

日中友好・中日友好が叫ばれる。重要なのは友好を基礎として日中/中日共同活動を実践することでは?しかし共同活動は容易ではない。友好を共同につなげるには理解しあうこと。しかし相互理解は難しい。難しいからこそ相互理解を促進し続けることが重要と思う。中国駐大阪総領事館が「日本市民新疆ツアー」を2回実施、NHKが西蔵自治区の旅番組を放送、山梨での「日中韓3カ国地方政府交流会議」に新疆の6人を含む400人余が参集、「日中友好交流会議」が北京で開催、東京で12月まで開催の「世界遺産 大シルクロード展」は再来年まで日本各地を巡回、これらも相互理解促進につながることであろう。

新疆40年記念答礼宴は盛り上がった。20年30年40年の親友たちとハグ・乾杯の連続。新疆文化観光庁には歌舞を披露いただいた。招待名簿は100人に絞ったが、書記・主席・副主席・庁長・学長…だった一部の方は、逝去・北京赴任・入院などで再会できなかった。楊新才氏が司会、筆者の深謝挨拶、新疆文化観光庁の徐鋭軍書記の熱烈挨拶、約70人と歓喜乾杯。出席者同士も久しぶりに再会した人が殆どで大盛り上がり。新疆文物局の盛春寿元局長(現・新疆政協秘書長)と新疆大学の単雪梅元教授が交流の日々を振り返り感動挨拶。

新疆文化観光庁の徐鋭軍書記の熱烈挨拶で乾杯!

会場アチコチで旧友同士が乾杯!乾杯!乾杯!

新疆政府外事弁公室の歴代幹部・現役諸氏と乾杯!

長年にわたり共に奮闘してきた日中双方の喜びが凝縮し、アチコチで乾杯・乾杯・乾杯。赤ワインと白酒は次々とカラに。名残は尽きないが2時間でお開き。一人一人と握手し再会を誓い、記念品(『講演資料』・「五星錦」ジグソーパズル・「キジル千仏洞壁画」マグネット・40年記念キーホルダー)を手渡した。リスペクトしあって実践してきた日中/中日国際協力40年。深謝するのみ。今回、紹介した講演と答礼宴からも、筆者がささやかながら実践してきた相互理解促進活動が現地で受け入れられていると感じていただければ有難い。

共に努力し共に笑った!乾杯!

新疆大学の副書記・元書記・教授・卒業生・名誉博士が「オー」

新疆側心づくしの歌舞を背に1942年3月生まれ同士が笑顔の再会

サプライズ:40年記念答礼宴はタクラマカン沙漠一周鉄路で南新疆の数都市視察へ出かける前日に予定していた。種々の理由で変更になり、12日間の視察を終え、コルラからウルムチへ戻った夜に開催。駅から会場「銀都ホテル」へ直行、親友の楊新才一家と記念品の袋詰めなどバタバタ準備4時間。受付・席配置・撮影などは新疆政府外弁の盛秀萍処長・新疆大学の焦健元院長・楊新才氏らに尽力いただいた。感謝。※一部報道に新疆大学奨学金授与者計が3712人とされているのは間違い。「新疆日報」(23.09.14)の4679人が正しい。

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
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小島康誉氏コラム

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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