日中50年、これまでもこれからも「百折千回心不退」

小島康誉    2022年9月17日(土) 17時0分

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9月29日、日中関係が好転しないまま日中国交正常化50周年を迎える。長崎平和公園内の「平和乙女像」の正面・背面と一部拡大。

9月29日、日中関係が好転しないまま日中国交正常化50周年を迎える。その主な要因はレコチャ配信の拙コラム「日中これからの50年 友好・理解・共同」に記したようなことが考えられるが、私たちが安心安全に暮らしてゆくには平和は欠かせない。それは日中間に限らないのは自明なことであるが、日本に近い東アジアでの紛争・戦争は特に大きく影響を受ける。近隣諸国と平和であって欲しい。世界が平和であって欲しい。しかし難しい。

長崎平和公園には世界各国から寄贈された多数の「平和祈念碑」が設置されている。そのひとつに中国から贈られた「平和乙女像」がある。参観された方も多いだろう。その背面には当時の中国共産党総書記・胡耀邦氏の「和平」(平和)が刻まれている。その「和」の右上に小さく薄く刻まれた引首印に注目する人は少ない。拡大写真でも分かりにくいが、中国仏教協会の趙樸初会長の「百折千回心不退」である。意味するところは「百回千回と紆余曲折があっても(平和を求める)心は挫けない」であろう。

その出典は趙会長「日本仏教界の友人との会話帖」とされている。趙会長は度々来日し、中でも筆者の師僧・水谷幸正先生(佛教大学学長・後に浄土宗宗務総長)と親交を重ねられた。その縁で、筆者は趙夫妻に数度お会いし、新華社記者らと出版したニヤ遺跡写真集『夢幻尼雅』(日中英文・民族出版社1995)の題字を書いていただき、逝去時には水谷先生名代として北京の自宅へ弔問させていただき…、その慈愛に満ちた尊顔は今も目に浮かぶ。趙会長と水谷先生は今も浄土で「平和」について清談されていることだろう。

日中関係の改善が難しい中、この「百折千回心不退」精神を持ち続けることが必要ではなかろうか。一部の報道やSNSなどに見られる日本での嫌中・反中派、中国での嫌日・反日派の発信、それはそれで意味あることだが、それだけで人類の明日は切り開けるのだろうか。こんな時こそ「百折千回心不退」精神が重要であり、「平和継続努力」の実践が求められるのでは?「共生」「善隣」「協力」「SDGs」実践を! 筆者も心に刻み新疆ウイグル自治区諸氏と国際協力を続けてゆく。コロナ禍で3年近く訪問できていないが、大美新疆の大発展ぶりなどを、ネット・書籍・講演などで発信し続けているのもその一環である。

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
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小島康誉氏コラム

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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