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中国国外に在住の中国系住民向けの情報サイト「留園網」はこのほど、中国における重型ヘリコプターの開発状況を紹介する記事を発表した。写真は開発する先進型重型ヘリコプター(AHL)の想像模型。
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中国国外に在住の中国系住民向けの情報サイト「留園網」はこのほど、中国における重型ヘリコプターの開発状況を紹介する記事を発表した。
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中国の重型輸送ヘリコプター計画は、2010年代にはすでに始動していた。当時の構想は、ロシアと共同で「先進重型ヘリコプター(AHL)」計画を進めるというものだった。ロシアは世界的な巨大ヘリコプターであるMi-26の開発経験を持っており、自然な協力相手に見えた。しかし、現実はそう簡単ではなかった。
Mi-26はソ連の工業体系の産物であり、2010年代には、その設計と製造に必要な多くの技術や供給網はすでに失われていた。ロシアはソ連崩壊後、Mi-26の再生産を何度も試みたが、安定した量産には至っていない。中ロ両国はニーズと位置づけにも大きな違いがあった。ロシアはMi-26タイプの改良を望んでいたが、中国は陸海空三軍に共通して使える新世代の重型輸送ヘリコプターを必要としていた。両国の協力は次第に距離を置くようになり、中国は最終的に自主開発の道を選んだ。
この方向転換は困難ではあったが、決意は揺るがなかった。なぜなら、人民解放軍にとって重型輸送ヘリコプターの不足は、機動作戦や遠距離投送能力を制約する最大の要因だったからだ。
現在、人民解放軍のヘリコプター編成は主に三つのタイプで構成されている。軽量型の直-9(Z-9)、中型の直-8L(Z-8L)、そして汎用型の直-20(Z-20)だ。Z -20は米軍のUH-60「ブラックホーク」とほぼ同等で、10トン級の汎用ヘリコプターに属する。Z-8Lの最大離陸重量15トン、輸送能力は約5.5トンで、性能は欧州のEH-101シリーズに近い。

これらの機種は想定された範囲内の任務では優れた性能を発揮するが、重装備の空中投下、山岳地域への強行突入、遠距離補給などには明らかに力不足だ。Z-8やMi-171は軽車両や火砲の吊り下げ輸送は可能だが、装甲輸送車、歩兵戦闘車、海軍の上陸装備といった重量物の輸送にはまったく「歯が立たない」。
これに対して、米国海兵隊のCH-53K「キングスタリオン」は最大離陸重量が38トンに達し、「ストライカー」装甲車1両を吊り下げ輸送できる。ロシアのMi-26はさらに巨大な56トン級の「空の怪物」であり、20トンの貨物を搭載可能だ。
重型ヘリコプターの開発における最大の難関はいつも、空力設計ではなく「心臓部」、すなわちエンジンだ。中国はかつて、この分野が目に見えて弱かったが、近年では状況が一変した。報道によれば中国の5000キロワット級ターボシャフトエンジンの開発はすでに試験段階に入り、順調に進展しているという。これを3基並列で搭載すれば、米国のCH-53Kに匹敵する出力が得られる。
このことは、中国では関連技術が「体系的な実力」を向上させていることを意味する。中国の航空産業は近年、高温合金、精密加工、セラミックコーティング、複合材料などの重要分野で全面的な進展を遂げている。かつて輸入に依存していたターボシャフトエンジンの「開発の壁」は徐々に解消されつつある。
中国では、伝動系とローター技術の蓄積も重型ヘリコプター開発の基礎を築いている。Z-8で長年培われた伝動技術やチタン合金製ブレードクランプの加工能力、五軸加工機の普及などにより、重量型ヘリコプター開発の「難中の難」とされる機械装置ももはや越えられない壁ではなくなった。プロジェクトが明確になれば、初飛行は3-5年以内に実現する見込みだ。
重型ヘリコプターの保有は、戦闘能力を延長することにつながる。陸軍にとっては、装甲車両を丸ごと山岳地帯や島嶼(とうしょ)の前線に空輸できることを意味し、立体機動と迅速展開能力が大幅に向上する。空軍空挺部隊にとっては、分散編成による迅速な突撃が可能となり、輸送機の滑走路に制約されることもなくなる。海軍陸戦隊にとっては、この種のヘリコプターが「第二波上陸部隊」の重要な投入装置となり、将来の島礁作戦では艦船から岸への輸送任務も担うことができる。

非戦闘任務においても重型ヘリコプターの役割は際立っている。震災への救援、大型機材の吊り上げ、山岳火災の消火、遠洋物資の投送―。これらの分野では、積載量が多く信頼性の高い国産ヘリコプターが切望されている。これまでこうした任務は外国製機種、たとえばMi-26のレンタルに頼るしかなかったが、今や中国では「自給自足」の実現が可能になった。
重型ヘリコプターは民間市場の牽引(けんいん)力にもなり、米国や西欧と肩を並べる産業体系を形成することができる。結局のところ、重型ヘリコプターの製造能力を持つということは、伝動系、複合材料、熱処理技術、動力管理などの分野で世界最高水準に達していることを意味する。
エンジンから伝動系、ローターから複合構造まで、すべての核心的難題が一つひとつ克服されつつある。3-5年後、国産の重型輸送ヘリコプターが真に空へ舞い上がるとき、中国のヘリコプター産業は最後の弱点を克服することになる。その時には、高原を駆け、海を越えて機動し、緊急災害対応や遠距離投送においても、中国版CH-53K「キングスタリオン」は人民解放軍の真の「空の鉄騎」になるだろう。(翻訳・編集/如月隼人)
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