中国の科学研究論文の数は世界一なのに、なぜノーベル賞を取れないのか?―仏メディア

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仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は19日、「中国の科学研究論文の数は世界一なのにノーベル賞とは無縁、原因はどこに?」と題する記事を掲載した。

仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は19日、「中国の科学研究論文の数は世界一なのにノーベル賞とは無縁、原因はどこに?」と題する記事を掲載した。

記事は、今年のノーベル賞受賞者が発表され、大阪大学の坂口志文氏が生理学・医学賞を、京都大学の北川進氏が化学賞を受賞したことを説明。日本が2001年に掲げた「50年で30個のノーベル賞」の目標は25年で約8割を達成しており、中国のSNS上で大きな話題になったと伝えた。

そして、日本が着実に受賞していく中、「中国は科学研究論文数で世界一なのに、なぜノーベル賞を取れないのか」という疑問の声が上がったと言及。実際、論文数では23年に米国を抜いて世界一になっており、24年の(中国の)研究開発費は米国に次いで2番目に多い3兆6000億元(約73兆円)と世界全体のおよそ20%に上っていると紹介した。

また、23年のハイレベル学術誌での論文発表は世界の約3分の1に当たる11万本超で、24年の引用数の多い注目論文数でも48.4%を占め世界1位を過去数年に渡り維持していることにも触れた。

その上で、こうした状況にもかかわらず中国がノーベル賞をなかなか取れない理由について、ネットユーザーの興味深い見解を紹介した。あるユーザーは「1949年から現在まで、日本人が受けたノーベル賞はおよそ32件。日本をどれだけ憎んでも、それで日本が民生、医療、食品安全、映画・音楽、官僚の清廉さ、治安、科学技術、教育、さらにはサッカーにおいてもはるかに先を行っている事実は変わらない」と書き込んだ。

また、別のユーザーは「毎年この時期に、わが国では奇妙な『集団ヒステリー』が起きるが、痛いところには一切触れない。今年のノーベル生理学・医学賞は、私たちの偽善的な仮面を粉々に打ち砕いた。受賞した3人は誰1人として論文の山を築いたわけでも、大規模なチームを従えていたわけでもない。彼らはただ、ひたむきに本当に重要な科学的課題を探求し続けてきただけだ。しかし、私たち(中国人)の研究動機は、すでに『プロジェクト予算表の数字ゲーム』へと変質してしまっている。研究課題が立ち上がったその日から、あらゆる思考はKPI(重要業績評価指標)を中心に回り出す」と論じた。

そして、「私たちの研究テーマの多くは自然への問いかけから生まれるのではなく、綿密な計算に基づいた『合理的選択』から生まれている。どの分野なら成果が出やすいか?どんな題材なら審査員の好みに合うか?こうしたビジネス論理に堕ちてしまえば、科学探究の最も基本となる原動力である『好奇心』は、最初に切り捨てられることになる」と述べた。

同ユーザーは、坂口氏が制御性T細胞の発見当時あまり理解されなかったことを例に「本当のイノベーションはその先進性ゆえにしばしば体制の理解を得られない側面もある」と言及。一方で、中国のような科学研究システムの中にあっては、「後ろ盾を持たない若い才能ある研究者たちは際限のない申請書類の作成に才能をすり減らすか、あるいはこの不条理なゲームに加わるしかなくなる。私たちの莫大な研究投資は、最終的に科学そのものの進歩ではなく、無数の『学術帝国』を肥え太らせる結果になっている」と断じた。

その上で、「論文の数で研究レベルを競い、インパクトが学問的価値と同義にされ、研究費の多寡が能力の証明とされる社会では、研究者たちが指標(KPI)の追求にすべての精力を注ぐのは当然だ。論文の総量では世界トップクラスに躍り出たものの、真に独創的なブレークスルーは数えるほどしかなく、人気分野には人が殺到する一方で、地味な研究分野は閑散としている。『作業員』が大量生産される一方で、本物の科学者はごくわずかだ」とし、「ノーベル賞に何度も横っ面をひっぱたかれてきたが、私たちはいまだに目を覚まさない」と自国の状況に苦言を呈したという。(翻訳・編集/北田

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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