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アリペイAI決済や高徳地図の街巡り番付で競争構図が激震している。資料写真。
アリババ集団傘下の金融会社アント・グループは11日、上海で開催されたインクルージョン外灘大会で支付宝(アリペイ)の「AI付(AI決済)」を初公開した。瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)との連携でAIによる注文から決済までを対話形式で完結させる仕組みだ。
一方、高徳地図(Gaode Map)は「掃街榜(街巡りランキング)」をローンチした。ナビゲーションや来店行動を評価指標に用いることで、大衆点評(美団傘下)ら既存の現地生活サービスに対抗し始めている。
アント・グループの「AI付」はラッキンコーヒーと連携し、AIアシスタントとの対話を通じて注文から支払いまでを一画面で完結させる仕組みを導入した。従来の「音声注文+決済画面への遷移」という流れを省略し、声だけで注文と支払いをシームレスに完了できる体験を実現した。
さらに、近接通信(NFC)を用いた「碰一下(タッチ決済)」の利用者が2億人を突破したことも明らかにされた。ユーザー数が1億人に達するまでに要した日数は321日だったのに対し、その後はわずか4カ月で倍増。対応場面は1000を超え、複数機能を併用するユーザーも1億人規模に達した。
同じくアリババ傘下の高徳地図は、生活サービスに直結する「街歩きランキング」をローンチした。これは、ユーザーのナビゲーション行動、検索履歴、再訪率、目的訪問の有無といったデータを軸に評価を行う仕組みだ。従来のUGC(ユーザー生成コンテンツ)中心の口コミ評価と異なり、実際の行動データに基づく信頼性を打ち出す。
具体的には、過去1年間で延べ5132万人のユーザーが残した13億回のナビゲーション記録(総移動距離228億キロ)を基に、118万店舗を対象にランキングを作成。対象都市は中国300以上に及ぶ。さらにアリペイの芝麻信用(セサミ・クレジット)を組み合わせ、信頼性の高い評価モデルを設計している。
高徳の新モデルは美団(メイトゥアン)が長年築いてきた「来店型・評価型」収益モデルに直接挑むものだ。美団ではフードデリバリー事業がコスト上昇で利益を圧迫する一方、来店型サービスは高い収益性を維持している。その牙城に高徳が切り込む構図だ。
アリババ側は潤沢な資金力を背景に総額10億元(約200億円)を超える補助金やプロモーションを投入し攻勢を強める。一方、美団は「高品質デリバリー」の再強化や口コミデータの精査を打ち出し、差別化を模索している。
ただし、「AI付」や「掃街榜」に象徴される新サービスは利便性を大きく向上させる一方でリスクも伴う。音声認識や自然言語処理における誤認証、なりすまし、詐欺行為が発生する可能性も否めない。また、AIモデルのバイアスや、推薦される選択肢の狭さがユーザー体験を制約する懸念もある。
ランキングにおいても、「目的訪問」と「通過立ち寄り」の区別精度や、データ収集・プライバシー処理の透明性が今後の信頼性を左右するだろう。制度面では「ユーザー同意の明示」「データ利用範囲の透明化」「AI決済における安全基準」が不可欠となる。
アリババ集団は「声で注文、触れずに支払う」AI決済と、「足で投票する」行動データ型ランキングという二つの武器で、現地生活サービスの基盤を再構築しようとしているかに見える。利便性と信頼性をいかに両立させるかが勝敗の分水嶺になりそうだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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