ライター機内持ち込み自慢動画が炎上、違法と迷惑を再生数に変える危うさ―中国

邦人Navi    
facebook X mail url copy

拡大

飛行機にライターを隠して機内に持ち込み自慢した中国人女性。SNS炎上から当局調査へ発展したこの事件は氷山の一角にすぎない。

飛行機にライターを隠して機内に持ち込み自慢した中国人女性。SNS炎上から当局調査へ発展したこの事件は氷山の一角にすぎない。「映え」を狙った違法・迷惑行為でアクセス数や再生数に変えようとする風潮は国境を越え、観光地や公共空間に波及している。

中国で繰り返される「違法自慢」

成都天府国際空港から出発した航空機で、女性乗客が「ライター持参で搭乗成功N回目」と投稿し、機内でライターを点火する様子を自慢した事件が報じられた。空港側は「火器を隠匿して機内に持ち込むのは違法行為」と説明し、調査を進めている。

実はこの種の「違法自慢」は中国で繰り返し問題視されてきた。高速道路で逆走し「運転テクニック」を誇示する若者や、飲酒後の運転をライブ配信するケース、あるいは高速鉄道の列車内で喫煙して煙感知器を作動させ、列車を遅延させた事例もある。

コンビニで商品を盗んで挑発的に撮影する者や、黄山や張家界で立入禁止区域に侵入し断崖で自撮りをする者も相次いだ。いずれも「法や規範を挑発し、それを拡散する」という構造を持ち、社会的非難を浴びた後に公安が摘発に乗り出す流れが共通している。

公共空間と観光地での炎上事例

法律の逸脱がなくても「迷惑行為」で炎上するケースは中国国内にとどまらず、海外にも波及している。例えば、奈良公園では中国人の訪日観光客が鹿を蹴ったり押さえつける映像が拡散し、日中双方で非難の声が集中した。観光スポットでの唾吐きや列への割り込み行為に批判が向けられることは少なくない。

富士山に二度登山し、遭難して救助を要請する事件が起きた。しかも二度目の遭難は山中に置き忘れたスマートフォンを取り戻すためと報じられたことから物議を醸すこととなった。過酷な環境下での無謀な行為は山岳救助隊に大きな負担を与えることになる。

万里の長城で日本人観光客が拘束

逆に、日本人観光客が中国で炎上した事例もある。今年春、20代の男女が万里の長城で尻を出して写真撮影を行い、中国当局に一時拘束された後、強制退去処分を受けた。

歴史的建造物を侮辱する行為と受け止められ、現地SNSで大きな非難が巻き起こった。軽率な行動が国際的な批判と外交的な余波を招いた象徴的な事例となった。

SNSが炎上を加速させる共通構造

これらの事例を並べると、いくつかの共通点が浮かび上がる。第一に、行為そのものの違法性や迷惑度合いにかかわらず、「撮影と拡散」が炎上の火種となること。第二に、個人の振る舞いが拡大解釈され、国家や民族のイメージにまで影響を及ぼすこと。そして第三に、短期的な承認欲求の満足が、後に取り返しのつかない社会的代償となる点だ。

そのため、中国では公安がSNS動画を証拠に即日立件し、行政拘留や刑事責任を追及する。観光地管理当局はマナー違反者をブラックリスト化し、再入場を禁止する動きを見せる。日本でも観光庁や地方自治体がマナー啓発冊子を配布し、観光地での振る舞いを明文化する施策を進めている。SNSプラットフォームも違法動画の自動検知や削除、アカウント停止措置を強化している。

「アクセス至上主義」の代償

制度や規制の整備だけでは十分ではない。根底にあるのは「アクセス至上主義」と呼ばれるトレンドだ。SNSの仕組みは即時的な承認欲求を満たすために違法や危険を売りにするインセンティブを生みやすい。数秒の注目を浴びる快感の代償は法的責任や国際的な批判という形で跳ね返ってくる。

違法行為や迷惑行為をコンテンツ化する風潮は、もはやグローバルな課題となってきた。違法行為や迷惑行為をアクセスに変える風潮に対し、私たちは一歩立ち止まり、その代償の大きさを直視する必要がありそうだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携