日中はなぜ、戦後80年が経過しても「真の和解」できないのか―香港誌

亜洲週刊    
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香港誌の亜洲週刊はこのほど、日中間の緊張含みの現状と、未来に向けて両国の「真の和解」を実現するための着想を紹介する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。

今年(2025年)は日本が第二次世界大戦で敗戦して80周年だ。日本では米軍の圧倒的戦力に敗北したとの印象が強いが、日本は実際には、対英米開戦以前の段階において長引く中国との戦いで国力を大いに消耗していた。そして、そもそも英米との開戦に至った最大の原因が、中国との戦争を続けていたことだった。一方、中国にとって第二次世界大戦の終結とは、何よりも抗日戦争の勝利を意味した。

日本と中国の間では、80年にわたり「平和な状態」が続いた。しかし現状を見れば、最近では日本でも中国でも、面識がないとみられる相手国民を襲撃する事件が発生した。防衛面を見ても、双方の航空機が異常接近を繰り返したり、公船がにらみ合う状態が続いている。

香港誌の亜洲週刊はこのほど、日中間の緊張含みの現状と、未来に向けて両国の「真の和解」を実現するための着想を紹介する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。毛支局長は日本で開催された識者によるシンポジウムを繰り返し取材し、対面形式でも識者から意見を聞いた。

日中は真の和解ができていない

毛支局長によると、九州大学の益尾知佐子教授は「日中両国が80年間にわたり平和を維持できたのは、戦後の国際構造と日中関係に関わる当事者たちの平和への希求によるものです」と指摘した上で、「現在は日中の平和を支えてきた環境要因が大きく変化しつつあり、今後も平和を維持できるかどうかは不透明です。両国の政治家には、『自国に似た国』との連携をより重視する傾向が強まり、あらゆるレベルでの日中間の対話は急速に減少しています」と説明した。

早稲田大学の劉傑教授は、戦後の日中が相互信頼を築くことができない重要な原因の一つとして、歴史を共有できていない点を挙げた。劉教授は「中国においては、歴史の叙述の枠組みはしばしば当局の政治的目的によって決められ、自由な歴史研究は認められていません。日本では『アジア歴史資料センター』が設立され、史料へのアクセスが容易になりました。中国の歴史研究はいまだに硬直化した状態にあり、中日間の歴史情報の格差は拡大し続けています」と指摘した。

相手の主張受け入れられなくとも、相手の立場を理解する努力が重要

駐中国大使の経験がある横井裕氏は、「日中両国はいかにして真の和解を実現できるか」との質問に対して、「日中両国はいずれも基本的に自国の立場から主張を行っています」と指摘した上で、「(日中は)互いに受け入れられない対立的な言論や意見に直面した場合でも、少なくとも相手がどういう立場、どういう考えからそのような発言をしているのかを理解しようと試みることが重要です。それが和解への一歩になるかもしれません」と述べた。

東京大学の川島真教授は「真の和解とは何か、それは難しい問題です」と述べた上で、「歴史観の多様性は本来あってよいものです。史料に依拠すれば、その差異の範囲は縮小し、互いの根拠や意図を互いに理解できるようになります」「日中の和解には、戦争が残した問題への対応が本質的に含まれています。この過程で、もし責任追及に偏りすぎれば、和解の実現は困難になります。したがって、まず和解に向かうことを出発点とする姿勢が非常に重要です」と述べた。

東京女子大学の高原明生特別客員教授は「和解には必要条件と十分条件があります」「必要条件は、加害者が加害行為に対して謝罪することですが、それだけでは和解は成立しません。もう一つの十分条件として、被害者側が加害者の謝罪を受け入れることが必要です」と述べた。

中国が日本の謝罪を受け入れ評価したこともあったのだが

中国の温家宝首相(当時)は2007年に訪日した際、「日本の指導者および日本政府は侵略などの問題について繰り返し謝罪を表明している。中国政府および中国人民はこれを高く評価している」と述べた。これは中国高官が公開の場で日本の謝罪を受け入れた唯一の発言かもしれない。このことは、当時の中国では日本の謝罪が受け入れられていたことを示しているが、その後こうした状況は徐々に曖昧になっていった。

日中両国は1972年の国交樹立以来、まずは経済利益を優先した。しかし最近になり、両国は次第に国際環境や安全保障を優先するように変化し、さらに国内政治や国民感情とも複雑に絡み合い、新たな問題が次々に生じるようになった。こうした状況の中で、問題が生じたときにどのように謝罪し、被害者側がそれをどう受け入れるのかも、日中和解における現実的な課題になっている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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