【観察眼】推し活のチャイナパワー

CRI online    2025年7月16日(水) 10時20分
facebook X mail url copy

拡大

3日間で30万人。これは先週、上海で開催された推し活EXPO「BW2025」の動員数だ。

(1 / 8 枚)

3日間で30万人!

その他の写真

これは先週、上海で開催された推し活EXPO「BW2025(Bilibili World 2025)」の動員数だ。

中国の動画配信大手Bilibili(ビリビリ)が2017年から毎年主催するこの祭典は、今年もまた過去を上回る規模となった。展示面積は日本のコミケを大きく上回る24万平方メートル。入場枠も昨年より3割増しとなったが応募者が殺到。出展企業は700社を超え、世界各国から1000人以上のクリエイターが参加するなど、今や名実ともにアジア最大級のACGN(アニメ漫画・ゲーム・小説)総合イベントへと成長した。


Bilibiliは、中国最大級の若者向け文化コミュニティであり、動画プラットフォームでもある。ユーザーの70%を18〜30歳の若年層が占めており、BWは今や中国の社会・経済・若者消費の新たな動向を映し出す鏡として、日本メディアからも注目を集めている。今年の開催初日には、日本経済新聞が「中国キャラ市場、5年間で12兆円に倍増 ゲーム発の自国IP台頭」と題する記事を配信した。

現在、中国の消費シーンには大きな変化が生じている。とくに注目されるのが「情緒消費」と呼ばれるエモーショナル・ニーズに応える消費行動であり、その中心にいるのが「二次元文化」に共鳴する若者世代だ。

デジタルネイティブ世代の若者たちは、好きなキャラクターやゲームなどを通じて仲間とつながり、そこに強い共感と連帯感を見出す。もちろん、推し活にもお金を惜しまない。


BW2025の会場では、200以上のゲーム企業、300以上の同人ブース、50以上の新作コンテンツが「オフライン版メタバース」を構築した。若者たちは、コスプレや二次創作を通じて「遊び」の世界に入り込む。そこから、それを「現実」の仕事にしていく者も少なくない。

統計によると、中国のACGN関連のユーザー数は2024年時点で5億300万人に達した。また、産業規模は2700億元(約5.4兆円)を突破し、世界最大の市場となっている。さらに、2029年には産業規模が8300億元(約16兆6000億円)に達すると予測されている。二次元文化はもはや単なる趣味や遊びの域に留まらず、巨大な産業分野へと進化した。

BW2025の大ブレイクによって、「吃谷(グッズ収集)」や「痛包(痛バッグ)」に代表されるサブカルチャーの市民権獲得にも拍車がかかった。


「痛〜」は日本発の「二次元用語」だ。痛バッグ(いたバッグ)は、推しキャラやアイドルの缶バッジなどのグッズを大量に付けたバッグのことで、推しへの愛を表現する推し活グッズ。同様に「痛〜」と呼ばれるものには、アニメや漫画のキャラクターのラッピングを施した痛車、痛バス、痛ビルなどがある。


BW2025の会場には、700台あまりの「痛車」が展示されたほか、地元紙の「新聞晨報」がBilibiliと共同で発行した「痛新聞」も話題となった。これらがテレビニュースになったことで、一般の人々にも知られるようになった。


さらに注目すべきは、日本のクリエイターや企業の積極的な参画である。

BW2025には、世界的なゲームクリエイター・小島秀夫氏が新作『DEATH STRANDING 2』のPRイベントを開催したほか、日本からはKADOKAWA、セガ、アニメイトなどのIPホルダーやグッズメーカーに加え、ソニー、キャノン、FUJIFILM、ローソンといった異業種も幅広く出展。夜の音楽ライブイベント「Bilibili MACRO LINK」には、日本からのアーティストや声優が数多く出演した。


日本のクリエイティブ、中国のマーケット、Z世代の感性。この三者が融合することで生まれた化学反応こそが、BWのダイナミズムを形作っている。

BW2025では、異業種の参入も注目された。

会場に設けられた8つの展示ホールのうち、1.5ホール分を占めたのがPCメーカーだ。ゲーマーにとって、高性能なPCは不可欠であり、NVIDIAやLenovo、Intelといった企業の必然だと言える。一方、興味深いことに、今回はジュエリーグループの「周大福」や金融業の中国建設銀行など、これまでは縁のなかった異業種の出展も目立った。

ACGNに代表される二次元文化が持つ巨大な消費ポテンシャルを、様々な業界が狙っている様子が見て取れる。

地域経済への波及効果も見逃せない。BW2025期間中、上海の観光需要は前月比35%増を記録し、ホテル予約も急増した。さらに、BW2025の閉幕後も、市内の三つの分会場で展示やグッズ販売が半年にわたり継続され、今後、上海を訪れるファンたちにイベントの余韻に浸る場を提供する。


1941年、中国初のアニメ長編が上海で誕生し、以来、上海は中国のクリエイティブ産業を育んできた。そして今夏、中国初の「国際アニメ月間」が7月4日から8月10日まで開催されている。閉幕したばかりのBW2025も、その核となるイベントの一つだ。

今上海で起きている推し活イベントは、中国のZ世代の台頭を映し出し、国際都市・上海の持つ包容力と進取の気風に満ちた若いエネルギーを示す鏡となっている。中国の経済・社会のイノベーションは工場や研究所に留まらない。展示会場、街角、若者のエモーショナル・ニーズ、そして世界との対話と共創の中にも広がり、世界を豊かにしているのだ。(提供/CRI

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら


   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携