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9日、台湾メディア・工商時報は、レアアース産業をめぐる中国や西側諸国の動向について紹介する記事を掲載した。
2025年7月9日、台湾メディア・工商時報は、レアアース産業をめぐる中国や西側諸国の動向について紹介する記事を掲載した。
記事は、米国地質調査所(USGS)の今年1月時点のデータによると、中国の昨年のレアアース生産量は27万トンに達し、世界の69.2%を占めているほか、レアアース埋蔵量も世界全体の48.4%に当たる約4400万トンを誇ると紹介。中国は資源の優位性に加えて、分離精錬と材料加工においても大規模な生産能力を持っており、北方稀土集団と中国稀土集団を中核とする産業クラスターを形成していると伝えた。
そして、中国政府が今年4月にサマリウムやテルビウム、ジスプロシウムなどの重希土金属を含む金属およびその材料の輸出規制に踏み出したことに触れ、今後規制が継続、さらに拡大されれば電気自動車(EV)やレーザー、原子力、航空宇宙、ドローンなどの最終製品製造業に実質的な影響を与える可能性があることから、世界のレアアースサプライチェーンにおける中国の極めて重要な地位を浮き彫りにする措置だと評している。
その上で、潜在的なリスクに対応するため米国では20年に国内レアアース産業再建計画を始動、国防総省からの補助金を通じてMPマテリアルズとオーストラリアのライナスによるレアアース分離精錬能力の開発を支援しているほか、22年には日本や韓国、カナダ、オーストラリア、英国、フランス、ドイツなどが参加する「鉱物安全保障パートナーシップ」(MSP)を主導的に設立し、多様で依存度の低い戦略鉱物供給ネットワークの構築を目指しているとした。また、23年には日本、欧州連合(EU)それぞれと「重要鉱物協定」を締結し、サプライチェーン協力を強化したと伝えた。
記事は一方で、各国が徐々に投資を拡大しているものの、分離・精錬を中心とする中流の生産能力は短期間では完全に補うことが困難であり、米国と同盟国が産業チェーンの不足を補い、大規模な生産能力を達成するには少なくとも3〜5年の時間が必要だと指摘。中国が規制を強化し続ければ、世界のレアアース市場の緊張は30年前後まで続く可能性があるとした。
また、現状では中国が当面の間レアアース産業において大きな優位性を保ち続けるものの、レアアース資源の自律性に対する世界の重視が高まり、採掘・分離技術が進化し続けるにつれて、将来的に世界の埋蔵量分布に構造的な変化が生じ、新たな供給体制の再編が生じる可能性もあると伝えた。(編集・翻訳/川尻)
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