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与野党の8党首は2日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、現金給付や消費減税などの物価高対策、トランプ米政権の関税措置を含めた外交・安全保障問題などで論戦を交わした。
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与野党の8党首は2日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、現金給付や消費減税などの物価高対策、トランプ米政権の関税措置を含めた外交・安全保障問題などで論戦を交わした。
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討論の冒頭、各党首は目標を掲げた。石破首相(自民総裁)の目標は「この国の将来に責任を持つ」。「賃上げを中心とした経済成長を目指す」と強調。消費減税の実施を改めて否定し、現金給付をアピールした。
公明党の斉藤鉄夫代表は「物価高を乗り越える経済と社会保障構築」を掲げ、医療分野などの賃上げも重視する考えを示した。給付も減税も行い、医療分野などの賃上げも重視する考えを表明した。
立憲民主党の野田佳彦代表は「物価高からあなた(国民)を守り抜く」を目標とした。時限的な食料品の消費税率0%を掲げ、「財源もしっかり打ち出した。責任ある減税だ」と強調した。
日本維新の会の吉村洋文代表は「社会保険料を下げる改革」を挙げ、現役世代の負担減を図るため、社会保障改革の必要性を強調した。「今の若者が活躍できる社会を目指す」と述べた。
日本共産党の田村智子委員長は「自公少数で消費減税」が目標。「参院でも自公を少数に追い込む」と訴えた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「現役世代から豊かになろう。そして全世代へ」との目標を掲げ、「手取りを増やす経済政策が必要だ」とアピールした。
れいわ新選組の山本太郎代表は「物価だけに矮小化するな」と掲げ、消費税廃止や1人あたり10万円の給付を訴えた。
参政党の神谷宗幣代表が掲げた目標は「日本人ファースト」。「移民や外国人に頼らない国家運営」を目指すと強調した。
討論会には、現職の国会議員5人以上、直近の国政選挙の得票2%以上という政党要件の両方を満たす8党が出席した。
社民党の福島瑞穂党首は「軍拡に反対だ」として社会保障関係予算などの充実を、日本保守党の百田尚樹代表は恒久的な食料品の消費税率0%を、それぞれビデオメッセージで訴えた。
外交・安全保障政策を巡っては、石破首相は米国が日本に防衛費の大幅増額を求めていることについて、「日本が決めるべきものだ。外国から言われて『わかりました』という話ではない」と主張。その上で、「米国といろんな連携は不可欠だ」と述べ、同盟維持の重要性を強調した。
日本共産党の田村委員長は防衛費について首相に質問し、「異常な大軍拡予算だ。こんな規模の軍事費と暮らしの予算は両立し得ない認識があるか」と質問。首相は「どうやって防衛力を整備するかについて国民にご理解をいただき、その部分を増額するのは当然の国の責任だ」と答えた。ウクライナ侵略に北朝鮮が関与していることを挙げ、「日本を取り巻く安全保障環境を相当に甘く見ていないか」と反論した。
与野党党首は外国人を巡る政策についても意見を戦わせた。「日本人ファースト」を掲げる参政党の神谷宗幣代表は、外国資本による不動産などの買収について「日本経済が弱くなり、経済植民地になってしまう」と危機感を示し、「規制が必要だ。野放図に買わせてはいけない」と主張した。これに対し、立憲民主党の野田代表は「(外国人が)特権的に扱われている分野があるなら是正することが大事だ」とした上で、「多文化共生社会を作っていくのが目指すべき方向性だ」と主張。「日本に来てよかったと思えるような社会を理想に制度構築していかなければいけない」と語り、外国人を積極的に受け入れる考えを示した。石破首相は、人口減少による労働力不足を補うための外国人人材活用に期待。「適法な方に日本社会と共生できる形で入ってもらう」と強調した。一方で「違法なものは認めない。政府としてもっと責任を持ちたい」と述べた。
難航している日米関税交渉も党首討論のテーマとなった。石破首相は、トランプ米大統領が固執する対日貿易赤字削減に協力する姿勢を示しつつ、「関税より投資」と従来の日本の立場を強調。日本製鉄による米鉄鋼大手のUSスチールの買収事案を挙げ、「日本は米国における世界最大の投資国で、米国で世界最大の雇用を生み出している。他の国とは訳が違う」とも発言した。日本に対し30%か35%の関税を課すと言及し妥協を迫るトランプ大統領に対する反論を控えた格好。多くの野党党首が対米交渉の遅れに懸念を表明した。立憲民主党の野田代表は「いきなりの決勝で直接やった方がいい」と首脳会談を決勝戦に例え、石破首相にトランプ米大統領とのトップ同士の話し合いを求めた。
参院選を控え、各党は消費税引き下げや特別給付を公約に掲げており、財政規律の緩みが懸念される。日本の泣き所は国内総生産(GDP)の2倍を超える規模にまで膨らんだ債務残高。対GDP 比率は先進国で突出している。このまま野放図な財政膨張策を続ければ財政再建は遠のく。債務残高急増で日本国債格下げリスクが高まり、「金利急騰ショック」を招く恐れがあることを覚悟しなければならない。
参議院選挙は7月3日公示され、20日に投開票される。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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