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モバイルバッテリーの取り締まりが強化されている中国で、「3C認証」と呼ばれる安全認証マークの偽ステッカーが出回っている。
モバイルバッテリーの取り締まりが強化されている中国で、「3C認証」と呼ばれる安全認証マークの偽ステッカー(ラベル)が出回っている。シンガポール華字紙・聯合早報が1日付で伝えた。
中国の各空港では今年6月末から「3C認証」マークがないモバイルバッテリーの持ち込みが一律禁止され、セキュリティーチェックで大量に没収される事態が続いている。背景には、国内大手メーカーであるROMOSSとAnkerの相次ぐリコールがある。両社のリコールは計120万個余りに上り、中国当局は「3C認証がない」「認証が不明瞭」「リコール対象」の製品について、国内線への持ち込みを禁止する緊急通達を出した。
「3C認証」とは中国の製品安全認証制度であり、2024年8月1日から正式に実施されている。リチウムイオン電池や充電器などは認証を取得し、製品にマークを表示しなければ販売・輸入・使用ができない。だが、これ以前に販売されていた製品にはマークが付いていないこともあり、今回の突然の取り締まりに動揺が広がっている。
記事によると、上海や杭州などの空港では3C認証マークがないことを理由に機内への持ち込みを拒否されるケースが相次ぎ、たとえ欧州のCEマークや米国のFCC認証があっても中国の認証がなければ没収対象となるという。しかし、同じ製品でも国際線では持ち込めるため、記事は「『外国では安全でも中国では危険物扱い』という矛盾を感じる旅行者も少なくない」と伝えている。
中国では「上に政策あれば下に対策あり」と言われるが、こうした厳格な運用によって偽3C認証ステッカーを販売するケースも増えている。記事によると、中国のネット通販サイトでは後付けできる偽の「3C認証」ステッカーが数元(1元=約20円)で販売されており、SNSや中古品取引サイトではレーザー刻印による偽造サービスも行われている。プラットフォーム側は関連ワードを検索できないようにしているが、個人間の取引は依然として野放しの状態だという。
さらに、押収されたモバイルバッテリーが中古市場に流れているとの指摘もある。中古品販売サイト「閒魚」などでは、「空港没収品」などと明記されたモバイルバッテリーが15~30元(約300~600円)程度で出品されている。ユーザーが安全性を尋ねても、「問題なく使える」などと根拠のないあいまいな返答が返ってくるようだ。
記事は、「そもそも、今回の厳格な規制の目的は粗悪品による火災や爆発事故を防ぐことにある。中国市場では低価格競争が激化し、粗悪なモバイルバッテリーが多数出回っている。国家市場監督管理総局の調査でも昨年のモバイルバッテリーの不合格率は約44%に達していた」と指摘。「そうした中で大手企業による大規模リコールが社会的関心を呼び、航空当局も対応を強化したわけだが、突然の一律禁止とその場しのぎの取り締まりによって、正規品を使う消費者にも大きな不便が及んでいる上、形式的な3Cラベルの有無にこだわるあまり実際の安全性がかえって見落とされる懸念もある」と論じた。
また、「そもそも本来は製造業者が負うべき責任が、無関係な消費者に転嫁される形になっている」とも言及。「3C認証マークが付いていないモバイルバッテリーについて、その安全性を確認する他の手段はないのか、メーカーは影響を受けた消費者に対して補償すべきではないのか、空港で不適合品として押収されたモバイルバッテリーはどのようにして適切に処理されているのか。これらの問いにも答えが必要だ」とし、「乱暴で単純な一律没収では済まされない問題だ」と指摘した。(翻訳・編集/北田)
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