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1日、シンガポール華字メディアの聯合早報はBYDが自社傘下のEVの市場価格を再調整すると発表したことを報じた。写真はBYDの「海豹06EV」。
2025年7月1日、シンガポール華字メディアの聯合早報は、中国自動車大手のBYDが同社傘下の電気自動車(EV)ブランドの価格を再調整すると発表したことについて、「価格競争の一時停戦のサイン」だと指摘し、「中国政府が各社に内巻きの価格競争の自主規制を求めた会合以降、徐々に持続可能な良性の競争への転換に希望が見えてきた」とする一方で、専門家からは「既定の販売目標が実現できなければ、第4四半期(10~12月)にも価格競争が再発する」と警告する声があることを伝えた。
記事は初めに「6月末までに『夏限定の一律価格』と銘打って22モデルを対象に10~34%の値下げを実施していたBYDは、先週末に一転して7月から王朝シリーズや海洋シリーズの値段を新しく調整し直し、現行の値下げ価格の設定を廃止するプランがあると発表した。聯合早報の記者が北京のBYDブランドの直営店を取材したところ、同店舗の営業責任者が7月から価格調整を行うことは事実だと回答した」と紹介した。
中国では自動車だけでなく、多くの業界や市場で価格競争の悪循環に陥り、政府の報告書にも今年初めて「内巻きの競争を総合的に治療、調整する必要がある」との文言が載った。中国メディアによると、中国の自動車市場の価格競争が始まったのは23年ごろといわれ、だんだん激しさを増すばかりの値下げ合戦を憂慮した中国政府は6月上旬にBYDを含む主要メーカー10社以上の幹部を北京に集めて会合を開き、過度で非合理的な値下げを控えるよう、各社に自主規制を要求していた。
記事は続いて、3人の専門家の意見を紹介した。1人目の北京大学新結構経済学研究院の沈鴻(シェン・ホン)研究員は、「政府が介入したことでEVの価格競争はしばらく落ち着きを見せるだろう。短期間で再発する可能性は低く、業界が内巻きの競争からより良性で持続可能な発展へと向かうのではないか」と回答した。
2人目のフィッチ・レーティングスのアジア太平洋企業格付け部門ディレクター、ヤン・ジン氏は、「自動車メーカーや金融機関、地方政府から『反内巻き』の声が上がっており、短期的には自動車の市場価格が落ち着く希望が見える」としながらも、「自動車市場の真価が分かるのは、購買が増える9~10月の時期で、その時に大手メーカーの価格安定戦略が通年の自動車市場の動向に影響を及ぼすだろう」と論じた。
3人目のフランスの投資銀行ナティクシスの呉卓殷(ウー・ジュオイン)上級エコノミストは、「BYDの価格調整は同業他社へ価格安定を呼び掛けるサインのようなもので、短期的には価格競争のまん延を抑制する助けとなるだろう」としながらも、「EVメーカーがそれぞれの販売目標を達成できなければ、価格競争は今年の第4四半期にも再発する恐れがある」と指摘した。(翻訳・編集/原邦之)
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