米国の対中半導体規制に構造的な欠陥、「守れば守るほど自国が弱くなる」というジレンマに―シンガポールメディア

Record China    2025年5月14日(水) 14時0分

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13日、シンガポールメディア・聯合早報は、米国の中国に対する半導体規制戦略が、かえって中国のイノベーション力強化、米国のイノベーション力低下につながっているとする記事を掲載した。写真は米国国旗。

2025年5月13日、シンガポールメディア・聯合早報は、米国の中国に対する半導体規制戦略が、かえって中国のイノベーション力強化、米国のイノベーション力低下につながっているとする記事を掲載した。

記事は、米国が18年より段階的に半導体分野での対中包囲網を強化しており、チップやその製造に必要な露光装置の輸出制限を行っていると紹介。その目的は先進的なAI技術の習得を阻止し、米国の国家安全保障と経済競争優位性を維持することにあると伝えた。

その上で、米国の対中チップ規制には「構造的欠陥」があると指摘されており、短期的に中国を押さえつける効果があるものの、長期的に見れば米国や友好国の企業の中国における収益を減らすのみにとどまらず、研究開発への投資能力が低下することで米国のイノベーション力、さらには米国の技術進化の根幹であるイノベーションエコシステム全体に打撃を与える衰える可能性すらあるとの見方を紹介した。そして、具体的な例として中国事業の収益が研究開発費用の源泉となっている米半導体大手NVIDIAに対する規制の影響について言及した。

また、人工知能(AI)開発に必要とされる人材、計算能力、モデル、データ、電力の5要素のうち中国がすでに計算能力以外の四つで強固な基盤を築いており、中国への対抗として、米国が唯一優位性を保っている計算能力、すなわち先端チップの規制に依存せざるを得ない状況も米国にとっては不利であることを伝えた。

さらに、米国による規制はむしろ、中国企業の自主開発と代替ソリューションの構築を加速させることにつながっているとも指摘。中国企業がチップの設計能力を急速に高めており、中国国内で自給自足が可能な半導体サプライチェーンの構築が着実に進んでいるとの見方が出ていることを紹介した。

記事は、中国のイノベーション戦略について「設計で先行し、製造で追いつく」という明確な道筋のもと、DeepSeekのように高性能なチップを必要としない革新的なモデル設計を推進しながら国産チップの製造能力を高める時間を稼ぎ、膨大な国内市場ニーズを生かして研究開発を加速させるという内部循環体制を確立させていると論じた。

そして、米中間の情報技術競争はデータセンターの時代から、データ収集やモデル訓練、ファインチューニング、大規模推論などの技術を通じて医療や教育、交通などあらゆる分野での人工知能(AI)応用を可能にするAI専用のインフラシステム「AIファクトリー」へと戦いの場が移行しつつあり、単なる技術競争ではなく、総合的な国家力の争いになるとする専門家の意見を紹介した。

また、中国が完全に自立したサプライチェーンを構築すれば米国のジレンマはさらに深まる可能性があり、米国は「守れば守るほど弱くなる」現状の中で、安全保障と開放性のバランスをいかにうまく取っていくかが問われると伝えた。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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