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米国の関税政策が世界各地で経済的混乱を引き起こしている中、アフリカ大陸では「関税の津波」の衝撃は特に甚大、と中国国営メディアが報道。外部リスクへの耐性が相対的に弱いためだ。
米国政府が推し進める関税政策が世界各地で経済的混乱を引き起こしている中、アフリカ大陸では「関税の津波」の衝撃は特に甚大、と中国国営メディアが報じた。アフリカ諸国の経済は総じて規模が小さく、発展の程度も低いため外部リスクへの耐性が相対的に弱く、経済発展を脅かし、工業化を阻害している。
国営新華社通信がまず取り上げたのは、アフリカ南部のレソト。国連が認定する後発開発途上国の一つで、かつてトランプ米大統領から「誰も聞いたことがない国」と表現されたことがある。繊維製品の輸出に大きく依存しているが、米国から50%のいわゆる「対等関税」を課せられ、対応に苦慮している。
特にレソトのような輸出主導型の国は影響を受けやすい。国連が認定する46の後発開発途上国のうち、33カ国がアフリカに集中しており、これらの国々は米国との貿易規模が小さいにもかかわらず、高額な「対等関税」を一方的に課せられ、負担能力との間に大きなギャップが生じている。これは米国の関税政策が実際には「不平等」であることを浮き彫りにしている。
国連アフリカ経済委員会(UNECA)のカルロス・ロペス前事務局長は、レソトでは衣料品輸出が基幹産業で半数以上が米国向けだと指摘。米国の関税政策はレソトの衣料品加工業に大打撃を与え、輸出の減少、工場の操業停止、労働者の大量失業を招くとの見方を示した。
南アフリカでは自動車産業が対米輸出総額の22%を占める。米国が輸入自動車への追加関税を発動したことで、同国の自動車産業も深刻な影響を受けている。
ロペス氏は「アフリカ諸国は現行の国際貿易体制の下で衣料品、繊維、軽工業製造、農産物加工などの輸出主導型産業を発展させてきたが、これらの産業は関税の影響を非常に受けやすい。アフリカ諸国はグローバルバリューチェーンへの融合に多大な努力を払ってきたが、今は逆に懲罰を受けている」と述べた。
エチオピア政策研究所のバレウ・デミッセ上級顧問は「エチオピアは輸入代替戦略を進めているものの、依然として主要な機械設備を輸入する必要がある」と言及。通貨安によるコスト上昇が避けられず、産業チェーンが原材料供給や部品製造などへ進出するための努力が阻害されることを懸念した。
一方で新華社通信は米国の関税政策について「アフリカにとって危機だが、変革を加速させる好機ともなり得る」とも伝えた。
短期的には輸出の減少や通貨安、債務圧力の増大により経済の強靭(きょうじん)性が試されることになるが、中期的には市場の多角化や地域統合、産業の高度化を通じてグローバルサウスの貿易ネットワークへの統合を加速させることができるからだ。同時に新華社通信は「ただし、このプロセスにはインフラ整備や技術移転、貿易金融などの面で国際社会の支援が必要となる」と訴えた。(編集/日向)
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