「ジブリ風画像」がSNSを席巻、AIの時代では誰もが芸術家になれるのか?―中国メディア

Record China    2025年4月12日(土) 11時0分

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6日、中国メディアの新華報業網は、「『ジブリ風画像』がSNSを席巻、AIの時代では誰もが芸術家になれるのか?」と題した記事を掲載した。写真はジブリ風画像。

2025年4月6日、中国メディアの新華報業網は、「『ジブリ風画像』がSNSを席巻、AI(人工知能)の時代では誰もが芸術家になれるのか?」と題した記事を掲載した。

記事はまず、「近ごろ、OpenAIChatGPT-4oのアップグレード版を発表し、その新たな画像生成技術を用いれば、たった一文を入力するだけで、日本のアニメ界の巨匠・宮崎駿監督が描くようなキャラクター画像を一瞬で生成できるようになった。生成された画像はまるで本物の手描き原画のように、水彩画の縁のにじみ効果や鉛筆線の揺らぎといった、繊細な表現まで再現している。この技術が話題となり、SNS上は瞬く間に『ジブリ風画像』で埋め尽くされた」とした。

続けて、「本来、1枚の映画用原画を描くには熟練のアニメーターが約7日間をかけて手描きする必要があると言われているが、AIであればそれをわずか1秒で生み出す。スタジオジブリが長年かけて築いてきた独自の手描きの美学が、AIによって大量に模倣されているのだ。さらに、AIの上位機能は『ジブリ風』だけでなく、『マーベルヒーロー風』、『ディズニー・ピクサー風』、『日本アニメ風』など、さまざまなアートスタイル様の画像を生成できる。このように、芸術作品だけでなく、コンテンツ制作に関わるあらゆる業界が、こうしたAI技術の方向に進みつつあるのである」と説明した。

その上で、「芸術家の存在意義が揺らいでいるように見える一方で、AI技術を活用した業界は逆に活気を帯びている。あるインフルエンサーがAIで画像を加工してフォロワーが10万人増えたという話がSNS上をにぎわせ、アニメ業界でもAIを活用して作業効率を大幅に上げた例も存在する。つまり、AI技術の進化に対しては『喜ぶ者もいれば、憂う者もいる』というのが実情である」と述べた。

また、「疑いようもないのは、芸術というものは人間の感情や思考を表現する手段だということである。AIには人間の複雑な感情や主観的経験に基づいた『表現したい』という衝動が備わっていないため、真の意味で芸術を『代替する』ことはできない。AIが生成するジブリ風画像は、いくら似ていようと、あくまで『似ているだけ』であり、本物の『ジブリ』ではないのだ」と指摘した。

さらに、「AIによる本当の衝撃は、芸術そのものではなく『芸術産業』にある。長年にわたり、芸術創作は高度に産業化されてきた。アニメ、漫画、映画、デザインといった分野では、厳密な分業体制と商業的運営のもとに成り立っている。創作はもはや孤立した表現ではなく、資本主導・効率重視の集団作業へと変化した。それぞれ業界で活躍するには、時間や資源の投入はもちろん、専門的な訓練や業界特有のハードルを乗り越えなければならない」と論じた。

記事は、「AIの登場は、高効率、低コスト、低いハードルという特徴によって、既存の産業システムに衝撃を与えている」とも言及。「AIは、もともとチームや組織でしか実現できなかった生産力を個人にもたらし、『創作』が産業システムから部分的に解放され、個人に引き戻された。今では、1人でアニメを生成したり、音楽を合成したり、映像作品を制作したりすることが可能となった。AIの登場により、誰もが芸術家としての創作体験を行えるようになり、これまで遠い存在だった創作の高みに手が届くようになったのである」とした。

一方で、「芸術の本質とは『誰』が創作したかではなく、『美』の伝達と感受にある。AIは新たな表現手段として、多くの人に創作のチャンスを与え、自己表現や美を追求する機会をもたらしたが、誰もが伝統的な方法で美を創造できるわけではない。ただ、これが専門的な芸術の終わりを意味するわけではない。むしろ、深い思想と独自の視点を持った芸術表現は、ますます貴重なものになるだろう」と予想した。

そして、「AIは模倣することはできても、『魂』を生成することはできない。画像を生成することはできても、『表現の動機』を理解することはできない。ジブリの影響力は、単なる画風ではなく、宮崎監督の人生経験に基づいた芸術表現から生まれるものであると言える。つまり、AIがどれほど驚異的な技術を備えていようとも、人の心を本当に打つ創作とは、独立した思考と感情体験を持つ創作者から生まれるのだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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