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中国が「国益のために犠牲を払うのは当然」と香港の大富豪・李嘉誠氏に激怒。パナマ運河を中国の支配下から取り戻したいトランプ米大統領の脅しに屈し、港湾事業を米投資会社に売却したためだ。写真は李嘉誠氏。
中国指導部が「国益のために犠牲を払うのは当然」と香港の大富豪・李嘉誠氏に激怒、と米誌「ニューズウィーク」が伝えた。パナマ運河を中国の支配下から取り戻したいトランプ米大統領の脅しに屈して、この戦略的要衝の港湾事業を約230億ドル(約3兆4500億円)で米投資会社に売却することにしたためだ。
ニューズウィークによると、中国国務院香港マカオ事務弁公室は3月中旬、中国政府の影響下にある香港紙・大公報の二つの記事をホームページに転載した。
どちらも李氏と同氏の所有する長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)は米国にひざまずき、中国の国益をあからさまに無視したと非難する内容だった。2日後にも再び大公報への支持を打ち出し、李氏は中国を裏切ったとやり玉に挙げた。香港の李家超(ジョン・リー)行政長官も事態を注視。中国当局は李氏への調査を開始したと報じられた。
同誌の記事は「中国当局はこれまでもビジネス上の意思決定でナショナリズムを何より重視するよう要求してきた」と指摘。「今回もトランプ政権との外交交渉に力を入れる代わりに、米中の間で地政学的課題に直面する企業を攻撃することにした」とした。
続いて「中国の当局者は中国発の企業が中国の国益のために犠牲を払うのは当然だと考えている」と説明。「当局の領有権主張に沿った地図の使用や現体制に都合のいい(だが自社の利益に反する)決定の強制など、中国政府は政治的忠誠心の証明をたびたび企業に要求する」と述べた。
さらに「中国に拠点を置く企業が中国政府の犠牲になるのは今回が初めてではない」と言及。「通信機器大手・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は2010年から第5世代(5G)技術の先進国市場戦略の一環としてカナダへの投資を開始したが、18年に副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏が逮捕され、その後カナダ人が中国国内で拘束されたことで、流れは一気に逆転した。ファーウェイは10年間のカナダ投資で多額の損失を出した」と紹介した。
ニューズウィークは「中国政府は国内企業に対する矛盾したアプローチを続けている」と論評。「中国経済は雇用と経済成長を民間部門に依存しているが、指導部は依然として企業の信頼性と政治的忠誠心に疑念を抱いたままだ。中国当局は高いハードルや障壁、脅迫を企業統制の手段に用いる傾向がある。問題の背後にある政治的緊張を緩和する努力は二の次だ。現体制は明らかに経済的利益より政治的安定を優先している」と断じた。(編集/日向)
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