中国のホテル業界で進行中の質と発想の変化とは―中国人専門家

Record China    2025年3月25日(火) 19時0分

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ホテル業コンサルタントを手掛ける深セン市華美顧問の王卉陽CEOは中国のホテル業界の現状を紹介する文章を発表した。

ホテル業コンサルタントを手掛ける深セン市華美顧問の王卉陽(ワン・フイヤン)最高経営責任者(CEO)はこのほど、同社が最近になり発表した「2025年ホテル管理会社業務発展調査報告」に基づき、中国のホテル業界の現状を紹介する文章を発表した。「報告」は業界のベテラン従事者100人への詳細な質問をを通じて業界の現状と今後の方向性を明らかにしたという。以下は同文章の主要部部の一部に日本人読者向けの若干の追加もするなどで再構成したものだ。

高度成長は終わり細分化された市場を「開拓中」

業界は2024年の全体的な発展に対して慎重な見方を示した。23年には市場の出来に対し「非常に良い」と評価した回答者が48%に達したが、24年にはこの割合が15%にまで大きく下がり、「普通」との評価が43%から67%へと増加した。なお、ここでの「普通」の中国語原語は「一般」だ。「一般」を日本語訳すると「普通」だが、中国では「よいとは言えない、抜きんでた点はない」のニュアンスで使われることが多い。

25年の業界の見通しについては、回答者の62%が「大きな変化はない」と予測した。この保守的な見方は、かつての高度成長期の楽観的なムードとは対称的だ。業界は「規模の追求」から「質の重視」に転換したと考えられる。

成長のチャンスについては、「ホテル資産の最適化と取引」を選択した人が前回24年の調査での67%から76%に上昇した。新規市場の成長が鈍化する状況にあって、既存資産の活用と価値向上が業界の焦点となっていることが示された。

チャンスのある業態については、「都市型ライフスタイルホテル」が75%で引き続き第1位だった。「小型ブティックリゾートホテル」(67%)や「健康養生ホテル」(48%)も高い関心を集めた。特に注目すべきは、「高齢者向け旅居ホテル」が前回調査での24%から34%に上昇したことで、この変化は人口の高齢化を背景に、ホテル業界が細分化された市場の開拓を進めていることを示している。

新技術の導入では困惑しつつも「対応中」

一方で、業界が直面する課題については、前年比10ポイント増の回答者の87%が「市場の低迷が続き、過当競争が深刻」との見方を示した。25年に新たに加わった課題としては「スマート化への投資が大きく、効果が出るまでに時間がかかる」(24%)と「新業態の発展により、従来型ホテルの市場シェアが圧迫される」(14%)があった。これらの数字は、デジタル化の波の中で、従来型ホテル業界の転換とアップグレードの過程には痛みを伴うことや、新興業態が市場構造に衝撃を与えていることを反映している。

しかし、ホテル業界関係者は、新技術の登場に困惑してばかりいるのではない。人工知能(AI)について回答者の32%が「主にバックオフィス業務に影響を与える」との見方を示し、20%が「AIはまず顧客サービスを最適化する」と考えていることが分かった。注目すべきは「ホテルはあくまでサービス業であり、人こそが常に最も重要な要素」と考えた回答者は、前回調査での25%から13%に低下した。このことは、業界がAIの潜在力をより深く認識し始めていることを示す。

ホテルのオーナー企業と運営会社の関係は「模索中」

中国では最近、ホテルのオーナー企業と運営会社との関係は緊張傾向にあり、激しい対立すら生じている。調査では、回答者の72%が「専門的で透明性があり、公正かつ客観的な評価体系の構築」が関係改善の鍵であるとの考えを示した。この割合は、前回調査より41ポイントも上昇した。さらに、「委託運営からフランチャイズ経営モデルへの転換」の支持率も前回調査の24%から46%に上昇した。これらの結果は、ホテルのオーナーと運営会社の関係の多様化傾向を示している。

中国では、国有企業のオーナーが自社経営のホテル運営会社を設立することが増えており、この動きは業界内で広範な議論を呼んでいる。調査では回答者の45%が「オーナー企業傘下のホテル運営会社は激しい市場競争と専門化の課題に直面している」とのと考えを示した。この方式が成功を収めるにはなお時間を要すると考えられる。

野放図な成長から精緻な運営に「移行中」

今回の調査結果を概観すると、中国のホテル業界は「野放図な成長」の規模拡大の段階から、「精緻な運営」による質のたかい発展段階へと移行しつつあることがうかがえる。文化と観光の融合、デジタル化の推進、特色ある細分市場、環境・社会・企業統治(ESG)の実践などの新たな方向が、概念的なスローガンから具体的な行動へと転じつつある。

この転換の過程において、真のチャンスは短期的な市場の波に追随することではなく、業界変革の本質を深く理解することによってもたらされる。「店舗があるかないかの競争」から「店舗の質の高低の競争」へ、「大きく強く」から「精密かつ独特」へと移行することが求められている。市場の調整期にあって、革新を貫き、顧客満足度を重視し、データに基づく意思決定を活用できる企業こそが、この業界再編の中で抜きん出ることができるはずだ。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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