留学生の5割超が中国人、タイの世論が賛否両論に分裂―香港メディア

亜洲週刊    2025年3月23日(日) 11時30分

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タイでは、中国人留学生が大幅に増えている。そのことについての懸念の声もあれば、「むしろよいこと」と評価する声も。写真はバンコク・トンブリー大学の様子。

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タイでは中国人留学生が大幅に増えており、もはや留学生の過半数が中国人だ。香港メディアの亜洲週刊はこのほど、タイでは、タイで学んだ中国人の激増が自国民の就業機会を失うとする懸念の声がある一方で、中国人留学生の増加はタイの職場の技能者不足を補う助けとなり、中国とタイの懸け橋になることで両国関係を強化すると主張する専門家も多いと紹介する記事を発表した。以下は、同記事の主要部分を再構成したものだ。

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中国資本が複数のタイの大学を買収

タイ英字紙「ネーション」によると、タイ高等教育・科学・研究・イノベーション省のスパチャイ常務事務次官は、タイでは私立大学3校が中国資本によって買収され、このことでタイ国民の間で不安が広がっていると説明した。中国資本に買収された大学を卒業した中国人留学生が、特に中国語を学んでいるタイ人学生と、タイ国内で経営される中国企業のポストを巡って競争するのではないかとの懸念が発生しているという。

2024年にはタイの教育機関に在籍している外国人留学生が5万3000人余りで、うち半数以上の2万8000人超が中国人留学生だった。毎年、200万-300万人程度の中国人が海外に留学する。その背景には、中国の優秀な大学の定員が限られていることもある。タイの場合、生活費が比較的安価なことは、留学先としての魅力の一つだ。

17年から18年にかけて、中国資本がタイの私立大学3校を買収した。うち1校のバンコクにあるクルク大学では、在籍学生全体の71%の4670人が中国人だ。パトゥムターニー県にあるシーナワトラ国際大学では、中国人学生が在籍学生の79%の863人だ。バンコクとフアヒンにキャンパスがあるスタンフォード国際大学では、在籍学生の27%の1101人が中国人だ。

中国資本に買収されたのではない、アサンプション大学も中国人学生の比率が23%、トゥランキット・バンディット大学でも中国人学生の比率が16%だ。

中国人学生の増加でタイの労働構造の欠点が改善か

中国人留学生が急増し、中国資本が教育事業に進出する事例があるなどで、タイでは不安が広がっている。しかしタイ商工会議所大学コミュニケーションアーツ学科の講師であるブッパー講師は、中国人留学生はタイと中国の雇用市場の「橋渡し役」になり、タイ国民の雇用の負の要因にはならないとの考えを示した。

ブッパー講師は、タイで卒業した中国人学生は、中国企業に就職する際に有利だろうが、中国に留学したタイ人学生も、中国で事業を展開するタイ企業に就職を希望する際には恩恵を受けることができると指摘した。

タイには3800万人の労働者が存在するが、うち大学卒業の学位を持つ者はわずか22%の約850万人だ。タイ私立高等教育機関協会のタナワ会長は、中国人留学生の増加を好機とみている。タイの大学を卒業した中国人学生が、タイにおける外国人技術労働者の不足という問題の解決に貢献できるからだ。タナワ会長はまた、中国人留学生の増加を批判する者に、技術系と非技術系の外国人労働者を区別するよう促し、タイには依然として訓練を受けた熟練の専門家が多く必要だと強調した。

タイ中小企業連合会のソンチャイ会長も、タイでは技術労働力育成のための予算が限られており、私立大学の中国その他の外国人留学生が卒業してタイで就職すれば、雇用市場における空白を埋めることができると指摘した。ソンチャイ会長はまた、増加の一途をたどる中国人留学生を通じて、タイは教育、労働力、観光業を強化することができるとして、中国人留学生を脅威と見なすべきではないとの考えを示した。

中国人学生の急増でマンション販売も好調

タイに投資する中国資本は多い。そのため、タイでは中国系企業の幹部の子女の教育ニーズも急増している。中国から直接タイに大学留学する学生の存在もあり、タイではインターナショナルスクールや大学における中国人留学生の数が著しく増加している。そのことで、タイ国内での住宅需要が高まった。

タイ不動産情報センターによれば、中国人はタイ不動産市場における主要な外国人の買い手だ。

24年1-9月に、中国人は住宅4386戸を購入し、購入総額は202億バーツ(約890億円)に達した。物件数、金額ともに市場全体の約40%だった。不動産コンサルティング会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによれば、中国人留学生の間で人気の住宅の形態はマンションであり、大学周辺地域のマンション販売は好調だ。例えばバンコクのクルク大学の周辺では、過去10年間で1万3000戸超のマンション物件が販売された。

クルク大学の周辺地域のマンションの販売率は95%に達している。バンコク大学、タマサート大学、タマサート大学に近いランシット駅の周辺でも学生や教職員、特に外国人による住宅需要が大きく、マンションは売れ行き好調だ。(翻訳・編集/如月隼人

バンコク・トンブリー大学

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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