ラトニック米商務長官は訪米した韓国主要企業代表団に会い、「10億ドル（約1500億円）以上を米国に投資してこそ『ファストトラック』が適用される」と述べた。投資規模が一定水準を超えれば主要な審査手続きを簡素化するという趣旨で、韓国紙は社説で「韓国も徹底したビジネスマインドで武装する必要がある」と訴えた。

東亜日報は社説で「韓国の通商当局は『10億ドル』が投資の下限値ではなく、『投資を多くしてほしい』という奨励の意味と解釈しているが、そう単純に見ることはできない」と論評。「『ファストトラック』は環境評価や安全保障審査など主要な審査手続きを簡素化し、迅速に支援するということだ。対米投資に対する一種のガイドラインを提示したと見ることができる」とした。

続いて、「韓国企業が1億ドルを投じて米国の造船所を買収するなど投資成果を例示する中、10億ドルに言及したのは『それだけでは足りない』という米国側の考えと解釈することができる」と指摘。「米国側は投資を約束する場合、1年以内の着工など具体的な実行が必要であり、（ラトニック長官は）トランプ政権の任期内に目に見える成果を出さなければならないとも話した。『2年連続対米投資1位』という事実を強調し、通商圧力を軽減しようと努力してきた韓国としては悩みが深まった」と述べた。

さらに、「トランプ大統領の就任から1カ月余りの間、米国はすべての国際関係を徹底的に米国の国益を前面に押し出したビジネス次元でアプローチしている」と分析。「トランプ氏は露骨に韓国を『マネーマシン』と呼ぶほどだ。「友人（同盟）と敵が米国を利用する時代は終わった」と主張する米国の前で、『（朝鮮戦争の）血で結ばれた70年の同盟』といった感情的な訴えはもはや通用しない」と憂色を深めた。

今回の訪米で民間使節団は、韓国が過去8年間、1600億ドル以上を米国の製造業に投資し、80万人以上の良質の雇用を創出したことを強調した。造船、エネルギー、原子力、人工知能（AI）、半導体など米韓両国がシナジー効果を発揮できる分野も提示した。

社説は「良い戦略だが、これだけでは米国の心を揺さぶることは難しいということが確認されたため、両国に実質的な助けとなり、米国が関心を持つような『ビッグプロジェクト』を積極的に講じなければならない」と提唱。「（大統領の弾劾裁判などで）リーダーシップの空白に陥った韓国は、貿易金融の拡大など、企業の被害を軽減する消極的な対応にとどまっている。大規模投資に見合った確実なインセンティブを要求するなど与えるものは与え、受け取るものは受け取るという積極的な姿勢が必要だ」と主張した。（編集/日向）