中国メディアの環球時報は21日、「人工知能（AI）＋ショートドラマ」が急成長に直面しているとの文章を配信した。筆者は技術経済ウォッチャーの瞬雨氏だ。

文章はまず、「DeepSeek（ディープシーク）の登場で多くの人がAI応用の未来図を見た」と述べ、「最近は『AI＋ショートドラマ』業界の動きが活発だ」と言及。その一例として中国国営メディアが春節（旧正月）向けにリリースした作品を挙げるなどし、「生成AIによる映像革命はこれまでにないスピードでコンテンツ産業全体を再構築している。従来の映画・テレビ制作における技術の壁を打破するだけでなく、アルゴリズム主導の文化生産という新時代が加速度的に到来するかもしれないことを示唆している」と指摘した。

そして、従来の映画・テレビ制作は「精密な工業機械」のようだと形容し、脚本づくりから特殊効果まで各段階で専門チームによる数カ月、場合によっては数年にわたる磨き上げを必要とするのに対し、AIは制作コストと制作周期のいずれにおいても圧縮を実現したと説明。従来の「脚本家-監督-役者」のライン的な協力は「アルゴリズム＋クリエーティブプランニング」という新型の構造に変化すると同時に、AIツールの投入は生産能力の急速な向上を直接的に引っ張ったと伝えた。小規模チームや個人でも制作への参加が極めて容易になり、「創意すなわち生産力」という目標にますます近づいているという。

文章はその一方で、「ツールが成熟して創作効率が向上する中で、コンテンツの方向性が創造と発展の鍵になる」と述べ、コンテンツの多様化が進む中でその方向性が分散したり間違った道に進んだりするのをどう防ぐかが、今後考慮すべき問題になると指摘した。

また、生成AIの発展で質の低いコンテンツが増えることを防ぐために明確な監督管理体制が必要とも主張。「AIがもたらすのは生産効率の飛躍的な向上、さらには人類の表現方法の拡張だ」とした上で、「ただし、技術の奔流の中で創作の精神をどのように守り、高品質なコンテンツの方向性をどう維持していくかは携わる全員が直面する大きな課題になる」と論じた。（翻訳・編集/野谷）