中国の半導体企業「怒涛の高額報酬」での人材獲得は過去の話に―台湾メディア

Record China    2025年1月13日(月) 9時0分

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台湾メディアの台湾聯合網は、中国大陸部の半導体関連企業が、極めて高額の報酬を用意することで、技術関連などの人材を「闇雲に獲得」する状況は過去のものになったと報じた。

台湾メディアの聯合新聞網はこのほど、中国大陸部の半導体関連企業が、極めて高額の報酬を用意することで技術関連などの人材を「闇雲に獲得」する状況は過去のものになったと報じた。転換点は2023年だったという。

福建省アモイ(厦門)市に本社を置いてIT関連ビジネスの情報を扱う愛集微の調べによると、24年の中国大陸部の半導体企業の平均年俸は34万元(約731万円)で、博士号を持ち10年以上勤続した人の平均年俸は105万元(約2260万円)だった。半導体業界の賃金水準は依然として高い水準ではあるが低下傾向にあり、24年の半導体企業の社員募集では前年比で約4%下落した。

中国の調査会社であるCINNO Research(シノ・リサーチ)の調べによると、中国大陸部における22年の半導体事業への投資額は1兆5000億元(約32兆3000億円)で、前年の勢いを維持したが、23年には状況が変化し、前年比22%減の1兆2000億元(約25兆8000億円)だった。24年にはさらに減少したとみられる。

主にデータセンターやクラウドコンピューティング環境で使用されるチップのDPUの設計会社の従業員によると、21年と22年には、開発従事者の賃金はそれまでの2倍から3倍になった。開発の中核的な役割を担っていた人は賃金がそれ以上に上昇した。当時はDPUだけでなく、チップ設計分野全体が「怒涛の事業拡大」の状態だった。

チップ設計のベンチャー企業は、潤沢な資本注入の支援を得て設立された。そして中国本土の主要なIC設計会社や多国籍チップ企業から人材を「怒涛」のように引き抜いた。最高ではそれまでの給料の6倍で引き抜かれた人もいる。このため、多くの技術者がスタートアップ企業に転職した。チップ設計の経験のない人が、ベンチャー企業でチップ設計を手掛けるようになった場合もある。

しかし23年には、中国大陸部での半導体産業への投資規模は縮小し始めた。チップ設計企業の増加も鈍化し始めた。ただし半導体産業全体は依然として高度成長期にあり、例えばチップ販売額は依然として着実に上昇している。

半導体業界の関係者からは、21年と22年の状況が常軌を逸していたのであり、23年ごろから業界は理性を取り戻したとする声が多く聞こえる。ある半導体テスト設備のベンチャー企業の社長は、「弊社はキャッシュフローに余裕がないため、昨年は賃上げも大規模な人材募集もせず、社内で長年の経験を持つ従業員を引き留めるとともに、年功の浅い新人を採用し、育成に重点を置きました」と述べた。

人材あっせん業を手掛ける科鋭国際の王香静上級採用マネージャーは「数年前には(業界の発展の)進展が早過ぎ、企業の雇用戦略が急進的過ぎて、人材と職務が合致しない現象が出ました。企業はこのことで、雇用戦略を次第に反省するようになりました」と説明した。また、集積回路の一部分野では、技術開発が一定の段階に達して急激な進展が見込みにくくなったことで、企業側は雇用コストを重視するようになったという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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