日本僑報社 2025年1月17日(金) 19時0分
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私はどうお礼を申し上げたらよいのか分からず、ただ「本当にありがとうございました!」と言うことしかできなかった。
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45年前、中日両国が日中平和友好条約を締結した。時代の変遷とともに私たちの生活がずいぶん変わったが、先人たちの築いた日中平和友好の基盤は今日に至っても、変わることはない。日中平和友好条約締結45周年に当たり、私は中国からの留学生としてこの目で見た日本と先人から学んできたことを伝えたいと思う。
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2022年10月に、私は日本で中日国交正常化のイベントに参加した。私はそこで聞いた、あるおばあさんの講演が今も頭の中に残っている。私はそのおばあさんの中国での留学の話を聞いた。彼女は留学している間、クラスで日本人は彼女一人しかいなかったため、毎日の授業後に、中国人の先生が、声をかけてくれたり、丁寧に授業の内容についてもう一度説明してくれたりして、いろいろと親切にしてくれたと仰っていた。
また、クラスメートも早く中国の生活に慣れるようにと、あちこちへ連れて行ってくれて、いろいろなことも体験できたそうだ。最も印象に残っているのはこの言葉だ。「あの先生 から『勿以悪小而為之勿以善小而不為(悪小を以て為すことを勿れ、善小を以て為さざることを勿れ)。』という中国の諺を教わりました。これは私の大好きな言葉です。中国にいる間、私は皆さんの小さな善意のおかげで、早くクラスに溶け込んで、中国の生活にも早く慣れるようになりました。これから、私は恩返しとして、日中両国が永遠に友好を続けるために、この諺の通りにやっていきたいと思います」。
彼女の仰った小さな善意を私もいただいたことがある。それは初めて日本に着いた日のことである。東京で乗り継ぎの飛行機を乗るつもりだった私は、荷物が重量オーバーのため、追加料金を払わねばならなくなったのである。しかし手元には日本円の現金もクレジットカードも持ちあわせておらず、途方に暮れていた。すると30歳くらいの日本人の女性が私に「どうしたの?」と声をかけてきたのである。私は事情を説明したら、彼女は「なるほど」と頷くと、なんと自分のクレジットカードで清算をすましてくれた。
私はどうお礼を申し上げたらよいのか分からず、ただ「本当にありがとうございました!」と言うことしかできなかった。彼女は微笑んで、「大丈夫だよ。一緒の飛行機だから、何か困ったことあったらまた言ってね」と言いながら、私と一緒に飛行機に乗った。途中で、彼女は「私は中国のことがとても好きで、もっと多くの中国人が日本へ来て今の日本を自分の目で見てほしい」と私に言った。隣近所のお姉さんのような笑顔と優しい言葉をもらい、日本人のやさしさに感動した。
私は二人の話から友好な善意を感じていた。例え小さな善意でも、私たち一人一人絶えずに努力することできっと大きな中日友好の実になると信じている。逆に、ちょっとした悪事が大したものじゃないだろうと思ってしまうと、悪い影響が何倍にも拡大される恐れがある。特に外国で発生してしまうと、母国の名誉にも影響がもたらされ、結局大きな事件に発展してしまうかもしれない。
日中平和友好を促進するためにどうすればいいかというと、私はその鍵はここで語った物語に登場したおばあさんやお姉さんのように、私たち中国人や日本人国民の暖かい心にかかっていると思う。両国民が中日両国の世代に末永く続ける友好のために、身の回りの友好のストーリーを正しく真っ直ぐ語らなければならない。もし中日両国が誠意を持って話し合い、互いに助け合えば、グローバル化に向けた各領域における協力や連携もスムーズに進められるであろう。そうすれば、中国と日本との友情は必ず末永く続いていくと思う。これこそ日中平和友好条約の今日的な意味ではないであろうか。
■原題:先人の思いを友好ストーリーで引き継いでいこう
■執筆者:王宇琪(北方工業大学)
※本文は、第19回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「囲碁の智恵を日中交流に生かそう」(段躍中編、日本僑報社、2023年)より転載・編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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