Record China 2025年1月8日(水) 16時0分
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中国メディアの環球時報は2日、「日本人の文化財保護の取り組みに感銘を受けた」との中国人記者の手記を掲載した。
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中国メディアの環球時報は2日、「日本人の文化財保護の取り組みに感銘を受けた」との中国人記者の手記を掲載した。以下はその概要。
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中部国際空港からは中部地方の各地へのアクセスが非常に便利だ。愛知県の木曽川沿いの道を進むと、木々の間から犬山城が遠くに見える。この城は、日本国内で「国宝」に指定されている五つの城の一つであり、1537年に織田信長の叔父である織田信康によって築かれた、現存する日本最古の木造天守である。
犬山城の敷地はそれほど広くなく、主に地上4階建ての建物で構成されている。記者が入り口でそのまま入ろうとすると、スタッフに止められた。スタッフはビニール袋を手渡し、靴を脱いで袋に入れるように指示した。記者は靴を持ちながら靴下を履いた状態で建物内を上へ下へと移動した。
このような見学方法は日本では非常に一般的である。江戸時代の宿場町・妻籠宿は重要な交通の要所でもある。現在では観光業が盛んで、約1キロの街道沿いに多くの旅館、飲食店、土産物屋が立ち並んでいる。近隣の馬籠宿までの8キロの道では、欧米の観光客がよくハイキングをしている。妻籠宿で最も有名な観光地は脇本陣奥谷で、江戸時代に武将が上京して滞在する際、多くがここを利用したとされ、2001年には日本の重要文化財に指定された。
本陣はかつて幕府や大名、官家の使者のための宿泊施設であり、人数が多い場合は脇本陣で夜を明かすこともあったそうだ。記者が本陣に入る前には、例によって靴を脱ぎ、他の観光客と共に囲炉裏の周りに座り、日本の伝統的な習慣や明治天皇が1880年に滞在した30分間についての話を聞いた。その後、スタッフの女性が部屋を案内し、天皇のために特別に用意された脚の長いテーブルを見せてくれた。
岐阜県の飛騨高山は、日本の北アルプスの美しい景色に囲まれ、「飛騨の小京都」として知られている。高山陣屋は江戸時代の代官所であり、地域の主要な観光地である。記者が訪れた日は寒く、靴下で陣屋内を歩くと足元が冷えたが、みんなが「ルール」を厳守していた。同行者は「日本の観光地を巡ると靴下が消耗する」と冗談を言っていた。
日本は文化財保護の面で、世界の最前線を走っていると言える。日本はアジアで最も早く建築遺産の保護に関する法律を制定した国であり、1871年には「古器旧物保存方」の太政官布告を発した。97年には「古社寺保存法」を制定し、継続的に法制度の改善を行ってきた。2001年には「文化芸術振興基本法」、06年には「観光立国推進基本法」が制定され、これらは日本の遺産保護と現代の経済社会の発展を融合させる法的基盤となっている。
日本は観光客への案内に注力するだけでなく、文化財の修繕や保全にも細心の注意を払っている。大規模な屋敷から1本の木や灯籠に至るまで、その徹底ぶりが見られる。石川県金沢市の兼六園に足を踏み入れると、記者は次々と目に入る「大きな傘」に心を奪われた。この「大きな傘」とは実際の傘ではなく木を支えるための装置で、何本もの縄で形成されており、冬の積雪から古木を守るためのものだ。ガイドによると、毎年11月になると金沢の古木にはこの「大きな傘」が取り付けられ、翌年の3月に取り外されるという。
これは金沢では非常に一般的である。長町武家屋敷跡は武士やその子孫が住んでいた場所で、伝統環境保存区域および景観地区に指定されている。武士の屋敷に足を踏み入れると、記者は作業員が古木に「傘」を設置している様子を目にした。ガイドによると、一部の武士の子孫はそれほど裕福ではなく、「傘」の設置は彼らにとって大きな出費だった。そのため、景観の美しさと文化財の保護のために、地元政府が毎年補助金を提供していたという。
それだけでなく、各家庭の外壁にも厚い藁が取り付けられ、降雪による損傷を防いでいる。「武家屋敷跡 野村家」の庭で、記者は奇妙な形をした藁人形を見つけた。それが庭の石灯籠を包んでいると知って驚いた。このような「装飾」は全く違和感がなく、むしろ美しさを添えるものだ。
文化を「見える、触れる」形にすることは、日本の文化普及の大きな手法である。金沢では金箔の製造が非常に盛んであり、湿潤な気候により静電気が発生しにくいことに加え、高品質な金箔製造に欠かせない良質な水源もある。金沢の金箔店ではほとんどの店が体験プログラムを提供しており、記者は老舗「今井金箔」で金箔装飾のコップを作った。
スタッフはまず体験者一人ひとりに凹凸のある模様が施された黒く硬い紙を渡し、円形の金箔紙を配布する。金箔紙を硬い紙に貼り付け、はけで何度もこすると、金箔が凹凸模様に転写される。記者は硬い紙に自分の好きな図案を描き、金箔を転写したものをコップのガラス層に挟み込み、オリジナルのコップが完成した。この30分間、スタッフは金箔作品の制作を体験させるだけでなく、関連知識や金箔の歴史についても説明し、簡単な「文化普及活動」を行っていた。
福井県にある恐竜博物館は、世界3大恐竜博物館の一つと言われており、内部展示エリアは4500平方メートルに及ぶ。館内には50体の恐竜骨格が展示されており、そのうち10体は実際の化石を使用している。記者は博物館で興味深い窓口を見つけた。子どもたちが台に上って中をのぞき込んでおり、そこでは研究員が工具を使って掘り出した石の処理を行っていた。研究員が現場で化石の清掃や保存作業を実演しているとの説明があった。毎年4~11月に同博物館は野外活動を開催し、観光客を化石の発掘現場に案内する。これは親子連れに非常に適したイベントだ。金箔制作から野外探検に至るまで、遠く感じられる歴史や時代を身近に引き寄せ、観光客に「実感」を与えているのだ。
日本滞在中、記者は至る所で地元の人々が観光を発展させ、文化を普及させるために尽力している様子を目にした。愛知県のホテルインディゴでは、犬山城が目の前に見え、ホテルの白い照明は地元の伝統的な祭りで使用されるたいまつをモチーフに設計されている。ロビーの座席は日本の和服の伝統色を取り入れ、天井は木曽川の流れからインスピレーションを得ているという。
特筆すべきは、日本の地域の理念である。妻籠宿は1976年に「伝統的建造物群保存地区」に選ばれた。地元住民は「売らない、貸さない、壊さない」という三原則を守り続けており、そのおかげで江戸時代の風情漂う素朴な街並みが保たれている。文化財の保護と「観光立国」の推進という狭間で、日本は独自の解決策を模索している。(翻訳・編集/北田)
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