Record China 2025年1月9日(木) 0時0分
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台湾メディアの中時時報はこのほど、日本語単語にはポルトガル語由来のものがあると解説する文章を発表した。「天ぷら」についての説明はよいとして、「ありがとう」の語源をポルトガル語とする主張には無理がある。
台湾では、日本に統治された歴史もあり、日本語由来の言葉が比較的多く使われている。多くは日本語の発音に近い中国語の読み方の漢字で書かれる。例えば、年配の女性を表す「歐巴桑(オウバーサン)」は日本語の「おばさん」に由来する。運転手を示す「運匠(ユンジアン)」は、字面を見れば「運ぶ職人」で、運転技術を持つ人への敬意をこめているように思えるが、語源は日本語の「運ちゃん」だ。
台湾メディアの中時時報はこのほど、元立法委員(国会議員)で「台湾島史記」などの著作もある蔡正元氏による、日本語単語の語源を紹介するフェイスブックの投稿を紹介したが、どうも妙な部分がある。
文章は日本語にはポルトガル語由来の単語が多いと紹介。まず、料理名の「天婦羅(てんぷら)」はポルトガル語由来と紹介した。「てんぷら」の語源はカトリックの「大斎期」を表す「tempora」という言葉で、「大斎期」の期間には肉を食べてはならないので、ポルトガル人は小麦粉をまぶした魚を揚げて食べたので、この言葉が日本食の「天ぷら」の語源になったと説明した。
ところで、台湾には「甜不辣」という食べ物がある。字義としては「甘くて辛くない」と読める。しかし、この語読み方は「ティエンブラー」で語源は日本語の「天ぷら」だ。ただし、小麦粉などの衣をつけて揚げるのではなく、魚のすり身をそのまま揚げたものだ。主に「関東煮(おでん)」の具材として使われる。関西では、東京などで「さつま揚げ」と呼ぶ食べ物を「天ぷら」と呼ぶので、その呼称が台湾に伝わった可能性がある。「関東煮」も、「おでん」を指す関西での呼称だ。
中時時報が紹介した日本語の「天ぷら」の由来はポルトガル語は、完全に定説とまでは言えないが、少なくとも「極めて有力な説」だ。ただし、もう一つ紹介した「ポルトガル語由来の日本語」は、どうも怪しい。文章は、日本語の「ありがとう」の語源は、ポルトガル語の「obrigado」と論じた。「obrigado」の意味は「ありがとう」であり、発音も「オブリガード」と「ありがとう」ではたしかにやや似ている。
ただし日本語の「ありがとう」の語源は「有難し」であり、仏教用語として日本語に入ったとされる。生き物は輪廻転生を繰り返すという考えが根底にある仏法では「人身受け難(がた)し、いまここに受ける。仏法聞き難し、今ここに聞く」などと説く。すなわち、「輪廻転生を繰り返す中で、人の身を得ることはとても難しい。仏法を聞くことは、極めてまれなことだ。しかし今、ここで仏法を聞くことができた」と論じて、「それほど稀有なチャンスを得たのだから、仏道の修行に励まねばならない」と説く。
この「人身受け難(がた)し」の部分を「有難し」とする経典もあり、「輪廻転生を繰り返す中で、自分が今、人として存在するのは極めて稀有なことだ」という意味が転じて、感謝を示す言葉になったというのが、「ありがとう」の語源についての定説だ。例えば1205年ごろにまとめられた新古今和歌集でも「有難し」が感謝の意を込めたことばとして使われている例がある。日本人が初めてポルトガル人に接触したとされる1543年よりも、かなり前のことだ。(翻訳・編集/如月隼人)
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