anomado 2024年12月11日(水) 14時0分
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金馬奨で日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞した「石門」が2025年2月に日本で公開される。(C)YGP-FILM
「中華圏のアカデミー賞」と称される台湾の映画祭「金馬奨」で2023年に日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞し、最優秀編集賞との2冠に輝いた映画「石門(せきもん)」(2022)が2025年2月28日から全国順次公開されることが決まった。待望の日本公開決定を受けて、ポスタービジュアルが初披露された。
「石門」は金馬奨をはじめ、ベネチア国際映画祭「ベニス・デイズ部門」、トロント国際映画祭、ニューヨーク映画祭、BFIロンドン国際映画祭など世界の映画祭で上映されてきた。いち早く鑑賞した海外の批評家から激賞が続出し、米レビューサイト「ロッテントマト」では、批評家から94%、一般観客からは驚異の100%の高評価を獲得した(12月3日現在)。
監督は中国湖南省出身のホアン・ジー(黄驥)と東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動する夫妻は女性の性に関する問題をテーマに映画を共同制作してきた。封建的な湖南省の農村で出稼ぎをする両親と離れて抑圧された生活を送る14歳の少女を描いた「卵と石」(2012)はロッテルダム映画祭タイガー・アワードを受賞。学校で没収されたスマホを売ったことで見知らぬ男たちと知り合うことになる16歳の少女を追った「フーリッシュ・バード」(2017)はベルリン国際映画祭ジェネレーション14+スペシャルメンション賞を受賞した。
世界的に評価されてきた共同監督の最新作「石門」は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリンを主人公に、女性の前にあるさまざまな壁を静かに見つめる作品だ。ホアン・ジー監督が「石門とは女性を取り巻く環境に存在する打ち破りたくてもなかなか突破して先に進めない壁だ」と語る通り、重々しい石の門を開く一条の光を求める映画が「石門」だ。
全編を固定位置から狙った撮影は本作の特徴の一つ。撮影を担当した大塚は「人物だけを切り取るのではなく、社会の中に彼女が立っているという構図でこの物語を伝えたかった」と話す。また、妊娠期間と同じ10カ月をかけて撮影することで、主人公が10カ月という期間の中で変化していくさまが映し出されている。
「卵と石」、「フーリッシュ・バード」に続き、本作でもヤオ・ホングイ(姚紅貴)が主人公を演じた。両監督は女性の性に関する問題を彼女の成長に合わせてそれぞれのストーリーとして描いている。監督と俳優の名コンビはフランソワ・トリュフォーとジャン=ピエール・レオなど映画史に数あるが、同3作はトリオによる連作としても世界から注目を集めている。
「石門」の日本公開決定を受けて、両監督からコメントが到着した。
ホアン・ジー
「この映画の共同監督である大塚竜治は、私のパートナーであり、夫でもあります。ある日、彼が言いました。『10カ月間撮影しよう』。それは、妊娠から子供が生まれるまでの時間であり、この映画が生まれる時間でもあります。この映画が石の扉を開けて、日本の皆さんに届くことをうれしく思います」
大塚竜治
「10カ月の撮影を終える直前にコロナが発生し、撮影は中断を余儀なくされました。その時、私たちは主人公のリンと同じように現実の中で迷い込み、出口を見失ってしまいました。しかし、最終的にその経験がリンの抱える痛みに寄り添い、彼女と共に重い扉を開くきっかけとなり、映画に新たな光を灯すことができました。ぜひ、映画をご覧ください」
今回初披露された「石門」の日本版ポスターは、大きな石の扉の前に立つヒロインの後ろ姿を捉えている。扉を押している彼女を縦のシンメトリーで写した構図は、女性を取り巻く厚い壁が象徴的に表現されたビジュアルとなっている。
■「石門」あらすじ
2019年、中国湖南省の長沙市。単発の仕事で日々お金を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠1カ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつくのだが…。
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