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香港メディアが地元政財界上層部の「パンダ経済に期待」を痛烈批判

亜洲週刊    2024年11月12日(火) 5時0分

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香港では「パンダ経済」に政財界上層部からの熱い視線が注がれている。香港誌の亜洲週刊はこのほど、状況を考察して「パンダ経済」を痛烈に批判する記事を発表した。写真はパンダが飼育されている香港海洋公園。

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香港では半年ほど前から「パンダ経済」に政財界上層部からの熱い視線が注がれている。香港で飼育されているジャイアントパンダが周辺の都市よりも多いことから、パンダを目玉に観光産業を振興する発想だ。香港誌の亜洲週刊はこのほど、「パンダ経済」が成功する可能性は低く、成功したとても一時的なものと批判し、香港経済を立て直すには、もっと綿密な仕組みづくりが必要と指摘する記事を発表した。以下は、同記事の主要部分を日本人読者向けに再構成したものだ。

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最近発表された香港政府の「施政報告」は「パンダ観光」を改めて提起し、パンダを香港の「特色ある観光商品」とし推し進めることを論じた。香港の各方面の政財界の人物は「パンダ経済」をことさらに語り、あたかも香港経済の新たな潮流のように扱っている。「パンダ経済」が香港経済の振興の柱になると主張する研究報告を発表した政党もある。

確かにパンダは一部の旅行者にとって魅力だが、効果を過大評価すべきではない。香港の政財界上層部が「パンダ経済」を重視するのは「希望的推測」によるものだ。政府が産業発展をけん引する際には、雇用機会を創出でき、川上産業と川下産業の発展の余地が比較的大きな産業に着目すべきだ。対症療法的な「パンダ経済」は、あっという間に幻影になる。

香港海洋公園

産業を発展させるには「比較優位」を重視せねばならない。香港は「パンダ経済」で大きな「比較優位」があるとは言い難い。香港で飼育されているパンダは6頭で、深センでは2頭、広州も2頭、さらには台湾でも3頭が飼育されている。香港で飼育されているパンダは、周辺地域と比べて「少し多い」程度にすぎない。

さらに言えば、パンダを目当てにする観光客が、四川省、広州市、深セン市、台北市ではなく、ホテル代や飲食費が高い香港にどうして来ることになるのか、説明することは難しい。

香港海洋公園

香港が「パンダ経済」の学習対象にしているのが、四川省にある四川臥龍パンダ基地などの状況だ。しかし、四川省のパンダ関連施設を見れば、パンダについて第一に取り組んでいるのは保護や繁殖であり、経済活動は二の次であることが分かる。

中国中央が香港にパンダを贈呈したのは、香港と中国大陸部の絆を強化し、市民と国際観光客にパンダを通じて中国に対する好感を高めることが目的だった。

この構図が、「パンダ経済」を重視するならば大きく変わってしまう。まず、経済を中心に据えるなら、効果を測定せねばならない。そのために、それぞれのパンダが観光客と交流する1日当たりの回数を数量化するのか。それともそれぞれのパンダでどの程度の収入が発生するのか。現実にはパンダにこれらの目標を達成するように「命じる」ことは難しい。仮に、経済効率を高めるための、パンダ公開時間を延長したりしたら、贈られたパンダを大切に飼育する本来の意図を歪めてしまう恐れがあり、「動物虐待」と批判される可能性もある。

香港海洋公園

1997年の香港の中国返還の直後、当時の董建華長官は、香港が「経済モデルチェンジを推進する」必要があると述べた。そして「大陸部を背にして世界に向き合う、アジアの国際都市である香港を建設する」とする発展方略を策定した。この発展方針は、その後の香港の方向性を決定する重要なもので、さまざまな決定に生かされた。しかし、董長官らが具体策として打ち出した「中国伝統薬の香港」、「デジタル香港」などの構想はうまくいかなかった。

香港が経済のモデルチェンジをするには、成長の余地があり、未来の世界経済成長の重点となる産業を見出さねばならない。同時に、董長官の教訓をくみ取り、関連産業に対してきめ細かな研究をし、人的資源や不動産環境、法律面と連動させてこそ、経済のモデルチェンジを真に達成することができる。

「ローマは一日にして成らず」の言い方がある。真の価値があり、将来にわたり競争を勝ち抜ける産業は、細かな研究と決断者の十分な戦略的忍耐力があってこそ成功に至る。世界的な自動車大手であるトヨタや、半導体のリーダーであるサムスンも、産業の転換期には極めて深刻な危機的状況に追い込まれたことがある。しかしトヨタやサムスンは「確固たる信念を曲げない」精神と、事前の徹底的な研究と計画で得られた信念によって最後までやり遂げたことで現在の地位を得た。(翻訳・編集/如月隼人

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