Record China 2024年10月6日(日) 22時0分
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台湾メディアの転角国際は、人気漫画「呪術廻戦」と日本の宗教や民俗の関係について紹介した記事を掲載した。写真は呪術廻戦。
台湾メディアの転角国際は、人気漫画「呪術廻戦」と日本の宗教や民俗の関係について紹介した記事を掲載した。
記事はまず、「日本で社会現象的な人気を誇る作品『呪術廻戦』は、漫画家・芥見下々氏が18年に連載を開始した漫画で、その後アニメ化され、今年年9月末に完結を迎えた。連載開始から6年間、『呪術廻戦』は広く支持されてきたが、物語の展開に関しては、読者の間で賛否両論が巻き起こった」と説明。「『呪術廻戦』が神作なのか、駄作なのかというという論争は、近年のアニメファンの間で頻繁に話題になるテーマの一つだ」とし、「さまざまな記録を打ち立てた『鬼滅の刃』と同様、『呪術廻戦』も世界的なパンデミックの中でヒットした。売上がコロナ禍の影響を受けた可能性もあるが、日本民俗学の視点から見ると、これらの作品の成功は非常に興味深い。われわれがなじみ深い宗教や民俗の要素を商業的に成功する作品に変換することは、台湾に住むわれわれにとっても学ぶべきことが多いと言える」と述べた。
記事は、「『呪術廻戦』では、多くの宗教的要素が取り入れられており、『無量空処(むりょうくうしょ)』もその一例である」と紹介。「これは、作中で五条悟(ごじょうさとる)が使う必殺技で、膨大な情報量を相手の脳内に送り込み、相手を完全に停止させるものだ。もともとの仏教用語では『無量空処』は禅定の一つの境地を指し、有形物質を超えて無限の禅定状態に達することを意味する。これは『空無辺処(くうむへんしょ)』とも呼ばれている」と説明した。そして、「『無量空処』以外にも仏教的な要素が取り入れており、作中で五条悟を封印するために使われた特級呪物・獄門疆(ごくもんきょう)の原型は、実在した僧侶・源信である。源信は天台宗の高僧であり、日本の念仏思想の広がりにおいて重要な役割を果たした『往生要集』の作者。この『往生要集』では、地獄での残酷な刑罰についても多く描かれており、『呪術廻戦』の設定では、源信は寛仁元年(1017年)に入滅し、その肉体が呪物・獄門疆に変わったとされている」と解説した。
また、「『呪術廻戦』の『呪』の概念は、日本のポップカルチャーにおいて再び人気を博している。これは、安倍晴明を主人公にした『陰陽師』シリーズの影響が大きいと言えるだろう」と言及。「陰陽師の小説や映画の中では、人の名前自体が最も原始的な『呪』であり、人が名前を付けられることでその名前に縛られるという『名』と『実』の興味深い対比が描かれている。また、陰陽道には『参籠(さんろう)』といった、神社や仏寺に閉じこもって祈願したり、何らかの力を得るために斎戒(さいかい)したりする伝統があり、『呪術廻戦』の設定にもこれら陰陽道の要素が取り入れられている」と分析した。
さらに、「『呪術廻戦』には、陰陽道の他にも日本古代の郷土伝承や、王朝時代の呪禁道の伝統を多く取り入れられている。例えば、主人公の体に寄生する『両面宿儺(りょうめんすくな)』は、日本の歴史書『日本書紀』で『二つの顔と四つの手を持つ異形』として記されている。『両面宿儺』の正体については、実在の妖怪か、身体的に異常な人間なのか、学者の間で議論されているが、かつて大和朝廷に反抗した勢力が、統一過程で滅ぼされた後、史書によって妖怪化された存在であると考える人もいる」と紹介。「国の歴史書で悪党とされた『両面宿儺』は、岐阜県の飛騨地方では民衆を導いた英雄としてあがめられている。したがって、『呪術廻戦』で描かれる『両面宿儺』のダークヒーロー的な設定は、民俗学的には合理的であり、呪術師たちが強大でありながらも歴史の影の中で生き、重要でありながらも主流文化に抑圧される存在であったことが表現されている」と論じた。
このほか、「『呪術廻戦』に登場する『御三家』の一つ、加茂家の発音は、日本の上賀茂神社の『賀茂』と同じ『カモ』である。歴史上の賀茂一族は、平安時代に安倍晴明が台頭する以前、朝廷で『陰陽博士』の職を掌握していた伝統的な貴族だった。賀茂家からはもう一人、仏教の密教と神道を結びつけ、神仏習合の基礎を築いた修験道の開祖・役小角(えんのおづの)が出ている」とし、「圧倒的な強さを持つ五条悟の出身である五条家は、その本家をたどると菅原氏に行き着く。作中では五条悟の先祖が『日本三大怨霊』の一人である菅原道真だとされている。菅原道真は歴史的には大学者だが、『呪術廻戦』ではその身分が大呪術師として拡張されている」と言及した。
記事は、「毎日お経や念仏を唱えている僧侶や信者たちを軽んじてはいけない。彼らの活動に目を向けると、実は民間信仰や宗教的な典籍が、創作の宝庫であることが分かるだろう。これが、筆者が台湾の寺院や廟の友人たちに親しみを持っている理由でもある。なぜならいつの日か、そこから台湾を代表し、世界中で大ヒットするアニメ作品が生まれるかもしれないのだから!」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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