<中国アフリカ協力フォーラム>50カ国超の首脳らが参加、中国が3年間で7兆円拠出、10分野で協力

八牧浩行    2024年9月7日(土) 7時30分

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中国が主催し、アフリカの50カ国以上の首脳らが参加する「中国アフリカ協力フォーラム」が9月4日から3日間北京で開かれた。

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中国が主催し、アフリカの50カ国以上の首脳らが参加する「中国アフリカ協力フォーラム」が9月4日から3日間北京で開かれ、習近平国家主席が「中国とアフリカの関係は『全天候型運命共同体』にレベルアップする」と強調。今後3年間で総額3600億元(約7兆2000億円)規模の資金を拠出することを表明した。

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同フォーラムの開幕式で習主席は貿易や農業など10分野での協力をアピール。貿易では開発途上国33カ国の製品の関税をゼロにする優遇措置を打ち出したほか、10億元(約200億円)の食糧援助を提供すると約束した。アフリカで少なくとも100万人の雇用創出を支援すると表明。安全保障分野でも10億元を無償援助すると強調した。

中国アフリカ協力フォーラム

「グローバルサウス」に働きかけ

中国はこれらの援助を通じ、「グローバルサウス」と呼ばれるアフリカ諸国への影響力を高めたい狙いがあり、同フォーラムにはアフリカ各国から多くの記者が招待された。

習主席は中国とアフリカが手を携えて公正で合理的、開放とウィンウィン、国民第一、多元的包容、エコフレンドリー、平和と安全の現代化を推進することを提案。「互恵協力は各国の長期的かつ根本的な利益に合致する明るく大きな道である」と強調した。また「中国はアフリカが自主的に平和と安定を維持する能力を高めることを支援し、世界の平和と安定を共に維持することを願っている」と表明した。

その上で「中国は中国式現代化で強国建設、民族復興を推進しており、アフリカもアフリカ連合委員会(ACU)の『アジェンダ2063』が描いた目標に向かって着実に前進している。中国とアフリカが共に現代化の夢を追い求めることは、必ずグローバルサウスの現代化ブームを巻き起こし、人類運命共同体構築の新たな1章をつづっていくに違いない」とアピールした。

習主席は中国とアフリカの関係は「歴史上最良の時期にある」とし、協力深化に向け巨額の資金拠出と安全保障協力拡大を約束した。

習主席は基調演説の中で、対中圧力を強める米国や欧州各国への対抗意識をのぞかせた。「西側諸国の現代化プロセスはかつて、広範な発展途上国に甚大な苦難をもたらした」と欧米諸国を中心とした植民地主義の歴史に言及。中国とアフリカに代表される途上国は「歴史的不公平を絶えず正してきた」と指摘、今後も緊密に連帯していくことを呼び掛けた。「中国はアフリカが平和と安定を自ら守る能力を高めることを援助したい」とも発言。アフリカの軍・警察関係者の育成支援のほか、中国軍との合同での演習や訓練の実施を表明した。

中国とアフリカは貿易協力を持続的に深化させており、輸出入の規模が急速に拡大した。税関総署が2日に発表したデータによると、中国・アフリカの貿易規模は2000年の1000億元(約2兆円)弱から、23年の1兆9800億元(約39兆6000億円)に増加し、年平均成長率は17.2%となり、同期の中国物品貿易の年平均成長率を4.6ポイント上回った。

「新天地アフリカ」との連携、中国が先行

2024年も中国・アフリカ貿易は引き続き安定した成長傾向が継続。1~7月の中国の対アフリカ輸出入額は前年同期比5.5%増の1兆1900億元(約23兆8000億円)となり、同期の過去最高を更新した。

習主席は中国・アフリカ協力フォーラム北京サミットに出席するため中国を訪れた南アフリカ、エチオピア、チャド、モーリタニアなど多くのアフリカ諸国の首脳と個別に会見。戦略的パートナーシップへの格上げなど連携の深化で合意した。

中国とアフリカの経済貿易協力が進展しており、今回のフォーラムは産業や安全保障関係の緊密化を再確認した格好だ。人口が急増し将来の発展が期待されるアフリカ諸国には欧米や日本も働きかけを強めているが、中国は大きく先行していると言えそうだ。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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