ベトナムでの10年の勤務経験を総括、仕事で実績を上げるコツとは―台湾メディア

Record ASEAN    2024年8月6日(火) 5時0分

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台湾メディアの換日禄はこのほど、10年にわたるベトナム赴任経験があるという台湾人企業関係者による、企業人として現地で実績を上げるコツを書いた文章を掲載した。写真はベトナム首都のハノイ市内で撮影。

台湾メディアの換日禄(電子版)はこのほど、ベトナムに赴任して10年にわたり仕事をした経験があるという、台湾人企業関係者による文章を掲載した。ベトナム人の能力を軽視したり、彼らの発想や習慣を無視して「上から目線」で接するようでは、現地法人の状態が悪くなり、本社による評価が下がって「自分の首を絞める」ことになるという。以下は、同文章の主要部分の要約だ。

ベトナム人と意思疎通する場合には、「論理」と「理屈」で相手を納得させるべきであり、地位を利用して圧力をかけることは避けねばならない。われわれは「外資系企業」により派遣された「外国人幹部」に過ぎず、地位が高いとしても、多くの場合には特別に優れているわけではないことを理解せねばならない。

私がベトナムに赴任してからあっという間に10年が経過した。人事部長という職務を担当してきたため、さまざまな給与体系の策定、労使調整会議、さらにはストライキなども経験した。私はベトナム人と仕事をする方法を深く理解しているはずだ。以下は、私がベトナムの職場で生き残るために非常に役立ったものであり、東南アジアでの仕事で結果を出そうと望む台湾企業の幹部や赴任者に参考にしていただきたい。

ベトナム人と比べれば、あなたの専門性は大したことない

私の長年の観察によれば、台湾の本社からベトナムに派遣された台湾人ビジネスマンの場合、成果を10点満点で評価するとすれば、7点分は「管理能力の実績」についての配点で、「自らの専門性の発揮」についての配点は3点だ。

基礎的な専門性は持つべきで、何も知らない状態で引きずられることは避けねばならない。しかし、チームメンバーの長所を組み合わせて会社の目標を達成することが、現地派遣の台湾人幹部として真の役割だ。今日のベトナムでは、教育水準の向上と産業の急速な発展により、台湾その他の外資系企業は、過去よりもはるかに容易に各分野のベトナム人専門家を見つけることができる。しかも人件費は多くの場合、台湾人幹部よりも低い。ベトナムの法規制、文化、産業動向、さらには関連する人脈について、現地の従業員は派遣幹部の大多数の上を行くことが多い。彼らの専門知識や技術、あるいは現地のネットワークの深さは、あなたが頼りにすべき助力だ。私が携わる業界では、現地の専門家は製靴技術に習熟するベテラン開発者だったり、税法に精通した熟練会計士であったり、消防機関とのやり取りを多く経験した環境安全担当者である場合がある。だからこそ、彼らの専門性を「尊重」することが必要だ。

多くの派遣台湾人は「上司気分」であり、仕事で意見が合わないとベトナム人に対して大声を上げることがある。これは事実に基づく議論や理性的な意見交換ではなく、立場を利用して相手に圧力をかけるものだ。このように相手の専門性を尊重しない場合、通常は二つのことが起こる。一つは、ベトナム人の離職率が高くなり、チームの人材が不足し、実績が目標に到達しないことだ。もう一つは、ベトナム人が反抗的になり、仕事のあらゆる面で手を抜くようになることだ。会社のチームとしての実行力は低下し、やはり目標が未達ということになる。

どちらの結果も最終的には自分に跳ね返る。本社から「実績を出せていない。管理職として無能」との烙印を押されることになり、最終的には降格や転任、あるいは退職や解雇という結末を迎えるだろう。

ベトナム人と意思疎通をする場合には、「論理」や「理屈」で納得させるべきで、地位を利用して圧力をかけることは避けねばならない。地位が高いのはほとんどの場合、「外資系企業の外国人幹部」であるからであり、われわれが特別に優れているわけではない。ベトナム人を納得させるためには、実証やデータに基づき、公平かつ合法的な管理手段により、あなたが実力あるリーダーであることを示す必要がある。

ベトナムの若者たち

常に代替要員を確保すべき

私が出会ったほとんどのベトナム人は、「家族」を最優先すべきと考えている。家族や親を近くで世話するために、大都会の待遇の良い企業を辞めて故郷に戻ることもある。

家族に問題があると、休暇を取ることが多く、その休暇が長くなったり、休暇期間が終わった後にそのまま退職届が届くこともある。長期の休職を申請することもある。

だからこそ、これらの状況によって人手不足や仕事の引き継ぎの断絶が生じるのを避けるために、普段から代替の仕組みをしっかりと構築しておくことが重要だ。人員面で可能である限り、すべての職務には2人以上の対応が可能な要員を配し、それぞれに業務の基本プロセスに精通させておくことが必要だ。異動のローテーション計画を組んで、多くの職務をこなせるように学ばせておくこともよい。

職務の代替の仕組みを確立しておらず、誰かが長期休暇を取ったり突発的に退職して引き継ぎが不十分になれば、人員が次々に退職する「連鎖反応」が発生する場合がある。台湾人幹部としては、自分で仕事の詳細を最初から把握せねばならず、仕事にともなう「苦痛指数」が一気にはねあがる。

意思疎通には忍耐力が不可欠

派遣幹部がベトナムで働く場合、多くは英語やトナム語、または通訳を通じて意思疎通をすることになる。そのため、台湾で働いていた時と比べて、仕事の詳細説明や業務プロセスの確認、作業の指示に、より多くの時間と労力が必要になる場合が多い。

例えば、本来なら1時間で終わらせることのできる会議が、異なる言語を使用するメンバーが加わることで2-3時間になる場合もある。また、業務がなかなか終わらず、長時間の作業が必要になることもある。

しかし、労働時間の短縮を狙って、あなたの指示をベトナム人側が理解しているかどうかを確認しないことは非常に危険だ。目標設定、業務の割り当て、進捗の追跡管理など、すべてが完全に間違った方向に進んでしまう恐れがある。

あなたの言葉をベトナム人が理解したとは限らない。必要に応じて、チームメンバーに彼らがどのように理解したか説明させたり、会議後に会議記録を整理して具体的な結論を示すことなどが、言語の隔たりによる誤解を避けるために重要だ。

さらに、ベトナム人が仕事上のアドバイスや仕事についての気持ちをあなたに伝えようとするならば、それは非常に喜ばしいことだ。これは彼らが心を開いて、あなたに対して自分の意見や気持ちを表現している証拠だ。彼らが「流暢ではない」または「適切ではない」中国語や英語で意思疎通を試みる場合でも、忍耐強く耳を傾けることが重要だ。実は、このような状況は互いの信頼関係を築く絶好の機会だ。

ベトナム

皆でよく働いた後には皆でよく楽しむ

あなたの赴任当初、ベトナム人の中には自分の心の中に「防衛メカニズム」を無意識であれ作り出したり、「台湾から来た幹部は外来者であり、いつかは去る」と考え、あなたに対する忠誠心を持たない者もいる。だからこそ前記のように、仕事中にはベトナム人を尊重し、忍耐強く意思疎通せねばならないわけだが、それに加えて、仕事が終わった後の交流も非常に重要だ。

多くのベトナム人は、仕事が終わった後に仲間と一緒に食事や飲み会を開くことが多い。食べて、飲んで、歌って楽しむわけだ。彼らにとっては「仕事は仕事、仕事が終われば仕事以外の時間」であり、仕事以外の場で皆が警戒心を解き、個人的なことも話す。あなたも気楽に参加して、「モット・ハイ・バーヨ!」、つまりベトナム語で「それ、乾杯だ!」と声を出して仲良くすることで、彼らのあなたに対する好感度を大きく高めることができる。

もちろん、一定の節度は必要だ。遊びではあるが「色ごと絡み」の場所には行かず、ベトナム人との身体的接触は極力避けねばならない。これは守るべき大原則だ。

さらに、ベトナム人に結婚や葬祭、出産、病気、事故などがあった場合には、心からの祝いまたは見舞いをして、あなたの「気持ち」を表すことが大切だ。これらの「気持ち」は、あなたにとっては「小さなこと」かもしれないが、彼らにとっては「非常に大きなこと」なのだ。この「小さなこと」が、あなたに対するベトナム人チームの忠誠心と結束力に知らず知らずの間によい影響を与え、あなたに指導者としての大きな力を追加するだろう。

異なる文化と言語の人々と交流し、共に働くことは非常に刺激的だが、同時に難しいことでもある。ますます多くの人がベトナムに派遣される状況にあって、私自身の経験に基づくこの文章が、皆さんにとって少しでも役立つことを願う。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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