和華 2024年7月24日(水) 7時30分
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古くから中国人にとって、竹は単に日用品や生産活動に必要な道具・工芸品であるだけでなく、奥深い文化的意味も持っている。
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中国は世界で最も早く竹を育成し、利用した国で、最大の竹産出国でもあり、「竹の国」とも呼ばれている。
古くから中国人にとって、竹は単に日用品や生産活動に必要な道具・工芸品であるだけでなく、奥深い文化的意味も持っている。竹は外側がまっすぐで中が空洞、枝が多く葉が生い茂り、すらりと伸びて四季を通じて緑であることから、高雅、純粋、謙虚、節度を象徴し、その内面と品格が中国人に深く愛されている。梅、蘭、菊と並び「四君子」とも呼ばれ、また梅、松と並び「歳寒三友」とも称されている。
古来より教養のある文人墨客は竹を愛し、詩に詠む人が多い。北宋文学の巨匠、蘇軾は「肉がなくても食べて生きていけるが、竹がないところには住めない。肉がなければ人は痩せていくが、竹がなければ人は俗になる。人は痩せても太ることはできるが、俗になると治せない」と詠んだ。これは蘇軾自身が竹をどれほど重視していたか、また中国の古代の士大夫や文人墨客にとって竹が特別な意義を持つことを示している。
室町時代に中国から煎茶とともに日本に渡った竹の道具類は、江戸の末期から明治にかけて、煎茶の隆盛と共に「唐物籠」として珍重された。竹は文人だけでなく、手先の器用な中国人によってさまざまな美しい工芸品へと変えられた。竹工芸はその独特の工程と技巧で、中国の工芸美術史に独自の地位を確立した。ここでは中国人の生活美学と精神的なよりどころを理解するために、竹工芸品の中でも特に竹彫りと竹編みについて紹介する。
竹は強くてしっかりしており、内側は空洞で外側は清潔、色合いは琥珀に近く、堅牢で韌性もあり、中国人にとって吉祥な物とされている。歴代の文人が竹を高く評価してきたことから、竹彫りの芸術が生まれた。
竹彫りとは、竹製の器物を彫刻して形作り、さまざまな装飾模様や文字を彫ること、または竹の根を使って各種の装飾品や置物を作る技術。ソリッド(硬い部分)の木と異なり、竹は中空で厚さが異なって破損しやすいため、彫刻する際には材料に特別な注意が必要だ。
竹彫りは商の時代以前にはすでに現れ、南北朝時代には竹根の彫刻芸術が出現した。初期の竹彫りの製品は主に宮殿に使われ、モチーフは仏像、人物、花鳥、山水などの紋様を竹に彫り込むものだったが、技術が進化するにつれ、次第に題材も広がっていった。唐代になると竹彫りはさらに発展し、多くの人に知られ愛されるようになり、中国南部の各地で流行した。
竹彫りは小さな物が多いが、竹の特性上、彫刻するのは非常に難しく、豊富な彫刻経験と高度な技術が必要だ。明清時代以降は名匠が次々と現れ、典籍に記された著名な竹彫りの職人は300人以上にも上る。
明清時代の竹彫り製品は技術が非常に優れており、重厚で質素なスタイルと豊富な構図、刀工が深く線は力強く、種類が多く、独自のスタイルを持っている。竹彫りは多くの人に愛されるようになり、次第に実用品から芸術品として鑑賞・収集されるようになった。
現在、中国の竹彫り作品は形状や内容が多種多様で、地方の特色や民族風情が溶け込んでいる。例えば四川省都江堰市の「聚源竹彫り」は中国西南地区で唯一の竹彫りの流派で、素材の選び方や刀工、緻密で複雑なテクニッなどが深遠で、「竹彫り文化の郷」と呼ばれている。
中国人は古くからの彫刻技術を使って、精神的なよりどころと意味を持たせ、竹彫り製品に具現化している。職人の精巧な手仕事によって竹は朽ち果てていくものから神秘的なものへと変わり、高雅で生き生きとした、清新で自然な竹彫りが竹製品特有の味わいを持ち、中国の工芸文化の代表の一つとなり、特別な芸術的魅力を感じさせている。
竹編みは中国人にとって非常に身近なものだ。子どもの頃の背負いかごや涼を取るための竹製の扇やマット、魚を捕るためのかごや網、物を入れるための竹製のかごや筐など、深い郷愁を感じさせ、誰でも多くの思い出を心に刻む。
竹編みは中国古代工藝品の中で最も早くから利用され、最も用途が広く影響が深い竹製品の一つで、竹の加工は4500年前からすでに専門業界として発展している。現在でも竹編みは中国人にとって欠かせない生活用品・工芸品で、竹の形状も用途もすべてが向上している。特に福建省安渓県は竹と籐の編み物の発祥地の一つで、長い歴史と豊かな製作技術を持っており、国内外で高く評価されている。その名声は「中国の竹編みは福建を見よ、福建の竹編みは安渓を見よ」と言われるほどだ。
安渓県の竹編みの主要な材料には毛竹や山藤などがある。竹と藤で垂直な二方向にそれぞれ交錯と圧縮を繰り返しながら完成する。縦の線は「経」、横の線は「緯」と呼ばれ、編むことを通してさまざまな模様が形成される。
安溪県の竹編みは唐時代の終わりにはすでに大変流行していた。宋元時代には農村に普及し始めた。安溪県の竹編みは現在でも手作業だ。時代が進むにつれて、技術はますます洗練された。精緻で耐久性もある竹編みの農具や茶具、生活用具は今では一般的になっている。その中で、竹で作られた茶器は竹編みの半分を占めている。安溪県の竹編みとウーロン茶の発展は密接に関連している。
安溪県のウーロン茶は武夷山で生産され、茶の木は岩の間に生えている。緑茶と紅茶の間に位置する「半発酵」の茶で、緑茶の爽やかさと紅茶の甘いまろやかさがあり、ウーロン茶の中で極上品といえる。
国家レベルの竹編み技術の代表的な継承者、陳清河氏は「安溪県にはウーロン茶もあれば竹編みもある。茶摘みの茶枠、茶冷ましの平たいふるい、揺り青(茶葉を揺らして発酵させる工程)の茶ふるいと揺青機、茶の焙炉など、何百年にもわたり竹編みが使用されている」と話す。
茶園で茶を摘む女性が頭にかぶる斗笠や背中に背負う茶かごも竹製品だ。地元では茶葉を天日干しや加工する際にも大きな竹の額や竹のふるい、大焙炉などが使われており、竹が随所で見られる。
竹製品は美観と質感が独特で、原始的で純粋な雰囲気を持っている。竹製品自体が人々の自然への敬意と環境に対する配慮を表しており、伝統工芸の継承と革新を兼ね備えている。持続可能な発展と環境意識が日々高まる現代において、竹製品はそのユニークな魅力でますます多くの人を引き付けている。(提供/日中文化交流誌「和華」・編集/藤井)
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