深センで構造的失業、家族に内緒で図書館で履歴書を書く人々―シンガポールメディア

Record China    2024年7月21日(日) 15時40分

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広東省深セン市で、失業が深刻な状態だ。失業したことを家族に隠し就職のための履歴書を書く人で図書館は満席状態だ。背景には、ハイテク業界の構造変化があるという。写真は深セン市内の図書館。

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ハイテク産業の発達で知られる広東省深セン市で、失業が深刻な状態だ。図書館では、失業したことを家族に隠し、就職のための履歴書を書く人で満席状態だ。深セン市での失業の多発の背景には、単なる不況ではなくハイテク産業が直面する構造変化があるという。シンガポールメディアの聯合早報が現地取材を踏まえて記事化した。

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35歳女性のZさんは、財務関係の管理職として勤務していた会社を昨年(2023年)末に解雇された。それ以来、新たな職を求めて履歴書を100通以上書いたが、まだ新しい職に就けていない。Zさんによると、かつての月給は2万5000元(約54万円)程度だったが、今では同等の職でも多くの企業は8000―1万2000元(約17万-26万円)程度しか出そうとしない。しかも勤務時間が長いなどの悪条件もある。またZさんによると、女性の場合には婚姻状況や出産計画なども問題にされ、さらに不利という。

平日に図書館通いをして履歴書を作成する若者

深セン市当局が発表した24年第1四半期(1-3月)新規登録失業者数は前年同期比で40.1%増、前期比で15%増だった。深セン市は22年から、失業率そのものは公開しなくなった。

ただし、中央政府国家統計局の発表では、24年第1四半期の全国都市部の調査失業率は前年同期比0.3ポイント下落の5.2%だった。失業者が多い若者層でも、4月の失業率は14.7%で、前月の15.3%を下回った。

深セン図書館

ソーシャルメディアでは、深セン市在住の多くの失業者が、家族に心配させないために、失業したことを隠して図書館やカフェなどに「偽装出勤」していると投稿した。同市竜華区内の図書館を訪れたところ、平日だったがほぼ満席状態だった。多くは若者で、パソコンで履歴書を書いたり、動画を見ていた。机に突っ伏して眠っている人もいた。

科学技術系企業でも分野によって大きな差

広東省体制改革研究会の彭澎執行会長は、深セン市の景況について、多くの産業、特に金融や科学技術系企業の場合、中国市場だけでなく海外市場とも密接な関係があると説明した。中国国内および国際的な経済環境が不安定なので、それらの企業は不確実性に対応するために、雇用の縮小や人員の削減を行う場合が多いという。

世界各地で人材あっせん業を展開するロバート・ウォルターズの中国法人である華徳士中国の王瑩副総監は、「深セン市の今年の第1四半期の人員削減は主に科学技術業界に集中しています。この業界では昨年以来、人員削減の流れが続いています」と説明した。王副総監は、科学技術業界の状況として、「科学技術企業は過去数年間、経済情勢が好調だった時期にあまりに急速に拡大しました。しかし、今は経済の落ち込み、国際貿易環境の悪化、新たな政策や法規による制限、技術が高度になり研究開発に困難が生じたことなどで、企業の経営と発展は打撃を受ける可能性があります」と分析した。

王副総監によると、同じ科学技術業界でも分野によって状況は異なる。人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの新興技術に注力する一部の企業は依然として成長の勢いを維持しているが、従来型のハードウェアメーカーやソフトウェア開発会社はより厳しい状況に直面しているという。

深セン図書館

花形分野の技術系以外にも需要高まる分野出現の可能性

王副総監は科学技術業界の状況についてさらに、資金をベンチャーキャピタルなどに頼る企業が多い状況も指摘。「経済低迷期には、資本側はより保守的になり、活力があるAIプロジェクトやバイオテクノロジー、新エネルギーなどの潜在力のある科学技術分野に投資する傾向があります。その他の科学技術プロジェクトについては慎重になります」と説明した。

また、雇用の傾向についても、有望視される一部の分野について積極的に募集するなどで、専門分野による差が大きくなる。今後については、多くの科学技術系企業は中国市場で不振であるために、海外市場の開拓を模索している。そのため、「さまざまな市場は法律、文化、市場競争の面で中国と違いがあります。企業はこれらの分野の専門家によって試練に対応する必要が出てきます」という。

前出の彭執行会長は、深セン市は産業構造の変化に直面しているとの見方に基づいて「現在の深センの失業率の上昇は、労働力市場が産業構造の変化に適応する面で一定の困難が存在していることを反映しています」との考えを示した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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