日本の古塔はなぜ地震でも倒れない?古代の匠たちの知恵―中国メディア

Record China    2024年1月25日(木) 8時0分

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中国メディアの環球時報は18日、日本の古い建築物が地震でも倒壊しない理由について紹介する記事を掲載した。

中国メディアの環球時報はこのほど、日本の古い建築物が地震でも倒壊しない理由について紹介する記事を掲載した。

記事は、今年の元日に石川県能登半島で発生した地震で多くの家屋が倒壊したことに言及し、「日本という地震が頻発する国では、建築物、特に高い建物をいかにして地震から守るかということが絶えず研究課題になっている」と説明。「古代の匠(たくみ)たちの知恵は時に現代科学に負けないものがある。日本の古塔が地震を経た現在もそびえ立っている秘密は“心柱(しんばしら)”にある」とした。

記事は、日本の古い塔の代表格として奈良県の法隆寺にある五重塔を挙げた。「世界最古の木造建築の一つで、1400年以上の歳月と度重なる地震を経てもなお倒れていない。いかにして千数百年もの間、耐えてきたのか。それは内部の特殊な構造によるものだ」とし、「五重塔の重さは約1200トンだが、底部から頂部にわたり中央に1本の“心柱”が貫かれている。各層の庇部分の重さは周辺の柱によって支えられており、心柱には荷重がかかっていない」と紹介した。

その上で、「各層の庇部分は上に行くにつれて小さく軽くなっている。大きい地震が起こると自らの重量によって異なる方向に横向きの力が発生するが、実は塔の各層は独立しており(留め具で緩く固定されている)、地震の際には1階部分が右に揺れれば2階部分が左に、3階部分が右に…と蛇のようにくねくねと揺れるため地震の衝撃を吸収するのだ」と解説した。

また、「心柱は各層を自由にし過ぎないバランサーの役割を果たしている」とし、「塔が大きく揺れると、心柱は各層と接触することにより倒壊を回避している」と指摘。「塔が右側に傾いた時、心柱は左側に作用して直立を維持しようとする。心柱とは十分な質量を持った“振り子”のようなものと言うことができる」と論じた。

記事は「この心柱は他の多くの日本の木塔(木製の塔)にも使われている。日本全国には三重塔や五重塔が計500カ所ほどあるが、何度も地震に耐えており、倒壊した例はほとんどない」とし、「1923年の関東大震災では明治期に立てられたレンガや鉄筋による建築物は倒壊したが、木造の塔は一つも倒れなかったと言われている。95年の阪神大震災でも兵庫県内の複数の三重塔はほぼ無傷で、2013年に栃木県で起きたマグニチュード6.2の地震でも日光東照宮の五重塔は倒壊しなかった」と紹介した。

そして、「古代の人が心柱を用いることを思いついた理由については諸説あるが、地震が多いという自国の事情に合わせて編み出されたものという説が有力だ」とし、「当時は多くの職人が建物を設計する時から解体や修繕を念頭に置いていた。法隆寺では木材の劣化から、13世紀、17世紀、20世紀に大規模な解体修繕が行われたが、その過程、使われていた建材などからそうしたことがうかがえた」と伝えた。

記事は、「日本の現代建築には古代の人の知恵が受け継がれており、東京スカイツリーにはそれを存分に表す心柱制振技術が採用されている」と説明し、「その制振システムは、五重塔の建築構造を単純に当てはめたものではなく、既知の力学原理を利用し、心柱構造を参考にした上でコンピュータシミュレーションにより開発した『アップグレード版』である」と伝えた。(翻訳・編集/北田

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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