Record China 2023年11月21日(火) 6時0分
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中国共産党のタブロイド紙・環球時報は11月20日、シンガポールのチャンネル・ニュースアジアの「中国が主導するハイテク市場に不可欠なレアアース市場を打破できるのは誰か」と題した記事を紹介した。
記事は、「レアアース争奪戦はすでに東南アジア諸国も巻き込んでおり、マレーシア政府は先月パハン州クアンタン近郊にあるレアアース精錬工場に対して、操業再開を許可した」と説明。「この精錬工場は、中国以外で世界最大規模のレアアース開発企業であるオーストラリアのライナス・レアアース社が経営している。しかし1994年、クアンタンから車で5時間の距離にある工場は、周辺住民の先天性異常や白血病の原因とみなされ、閉鎖された。工場は日本企業により運営されていたが、長期にわたり廃棄物処理施設がなく、放射能漏れが起き、工場周辺が汚染された」と伝えている。
記事はまた、地政学的問題から緊張が高まる米中関係がレアアース争奪を過熱させたと指摘。英ニューサウスウェールズ大学サスティナブル・マテリアル研究技術センターのヴイナ・サハワラ所長は、「レアアースが『レア』と言われるゆえんは、抽出が非常に複雑であるからだ。世界中にレアアースは分布しているものの、技術に秀でた中国だけが世界の生産量の70%を占めており、以下米国14%、オーストラリア、ミャンマーと続く」としている。また、シドニー大学のジャン・ユエ豪中関係研究所副教授も、「地球上には供給を満たすに十分なレアアースの鉱床はあるが、重要なのは誰がその精錬加工技術をコントロールするかということだ。中国は世界で唯一レアアース17種類のバリューチェーンを展開する国で、技術面でも廃棄物管理面でも優位に立っている」と述べた。
ライナス・レアアース社のアマンダ・ラカーズ社長は2018年当時「中国内にはレアアース応用分野の博士が100人もいるが、欧米にはひとりもいない」と述べたが、記事は人材やマンパワーだけの問題でないと指摘し、ジャン氏の言葉として「中国はレアアースに関連する研究機関で数千人のエンジニアを雇用しているので、この分野で太刀打ちできる国はない」と伝えた。
記事は、レアアースの抽出工程は労働集約型で、環境や人体に害を及ぼす可能性も高いとし、「中国はこうした分野で数十年の経験を有しており、他の国に比べてコストも安い。もし西側諸国がレアアースの精錬加工工場を建てるとしても、基礎設備と安全対策を講じるために時間と金と労力が必要となる」と述べている。
そして、「中国はレアアースのサプライチェーンにおける主導的地位は、加工から下流分野にまで及んでおり、中国の工場が生産する高強度の希土類磁石(レアアース・マグネット)は世界の使用量の90%を占めている」とした上で、「こうした既成のサプライチェーンがあるため、国内外の多くの電子部品メーカーは広東省などに工場を設けている。スマートフォンもイヤホンも中国から出荷されるのは『メイド・イン・チャイナ』の完成品である」と伝えた。(翻訳・編集/榊原)
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