Record Korea 2023年11月10日(金) 13時0分
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「帝国の慰安婦」の著者、朴裕河・世宗大学名誉教授が韓国紙に寄稿。「韓国の左派も右派も自分たちの既存の主張に合わせて誤読した」と訴えた。
旧日本軍の慰安婦問題を扱った著書「帝国の慰安婦」の記述をめぐって名誉毀損(きそん)の罪に問われ、韓国大法院(最高裁)で無罪の趣旨の破棄差し戻し判決を受けた朴裕河(パク・ユハ)世宗大学名誉教授が韓国紙に寄稿。「韓国の左派も右派も自分たちの既存の主張に合わせて誤読した」と訴えた。
さらに朴氏は「慰安婦問題はしばしば韓日問題としか考えられていないが、実は冷戦体制とも深く関連している」と指摘。韓国内で事態が混迷した背景には北朝鮮の思惑があった、との見方を示した。
著書は2013年に韓国で、14年に日本で出版された。「旧日本軍による強制連行」を元慰安婦の支援団体が強調するのは、実態と隔たりがあるとして再考を促すなどの内容で、元慰安婦らが14年に刑事告訴し、検察が在宅起訴した。
一審は無罪だったが、二審は「多くの慰安婦で強制動員はなかったと読者が受け止める可能性がある」などとして有罪判決となり、朴氏と検察の双方が上告していた。
朝鮮日報への寄稿で朴氏は「帝国の慰安婦」執筆の動機について「1990年代初頭、日本留学の最後のころ、慰安婦問題が初めて提起された。帰国後、ハルモニ(おばさん)たちの話も聞き、証言集も読む中、私は世間で慰安婦問題が消費される方式に少しずつ疑問を持つようになった」と説明。「韓国国内に少女像がつくられた直後から、私は慰安婦問題についてもう一度きちんと書かなければと考えた」と振り返った。
「帝国の慰安婦」の出版後は「両極端を批判する私の著書を、その両極端は自分たちの既存の主張に合わせて誤読した。右派の一部は私が自分たちと同じく『慰安婦は売春婦』だと同意したとして歓迎し、左派の一部もまた、慰安婦を売春婦と非難したとして私を攻撃した」と紹介。左右両派に苦言を呈した。
大法院の判決文は「強制連行否定、自発的売春、積極協力を語るために当該表現を使用したわけではないと明確に記してくれている」と評価。「今回の(名誉毀損)事件は慰安婦のハルモニたちと私の戦いではなく、あのような周囲の人々と私の戦いだった。そして、あの周囲の人々の真の不満は自分たちとは『違う解決方法』が模索され、受け入れられるところにあった」と述べた。
一方で朴氏は「慰安婦問題が始まった1990年代初頭、北朝鮮は慰安婦問題を日本による植民地支配に対する『違法賠償』を受けられる好機と考えた」と言及。当時、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)の幹事を務めていた尹美香(ユン・ミヒャン)氏や慰安婦問題に深く関与した法律家らもまた、北朝鮮の対日交渉力を意識した。慰安婦問題で補償ではなく『賠償』を受けようと思ったら『違法』でなければならず、まさにそれ故に、どこまでも『国家による強制連行』であるべき構造がそこから始まり、定着した」と解説した。
北朝鮮は2002年の日朝平壌宣言でその主張を引っ込め、経済的補償を受ける方式へと転換したが、朴氏は「その後も、尹氏ら周辺の関係者は『違法賠償、強制連行』の主張を続けた。この人々が朴槿恵(パク・クネ)政権時代の韓日合意に決死反対した理由でもある」と論じた。(編集/日向)
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