Record China 2023年10月4日(水) 9時0分
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ファーウェイの「Mate 60 Pro」が携帯電話市場で久しぶりの新ヒット商品となったことで、低迷していたサプライヤー業者に光明が差し始めた。業界全体の体質改善につながるとの指摘もある。
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華為技術(ファーウェイ)の「Mate 60 Pro」が携帯電話市場で久しぶりの新ヒット商品となったことで、長年低迷していたサプライヤー業者に光明が差し始めた。
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ファーウェイはかつて携帯電話業界の力強いプレーヤーだった。ファーウェイの携帯電話販売台数は2019年にピークに達し、世界シェアは17.5%と、アップルを抜いてサムスンに次ぐ第2位になった。しかし米国が20年9月にファーウェイに対する圧力を本格化したことで、ファーウェイ製携帯電話の市場シェアは急速に下落し、23年第1四半期(1-3月)にはわずか2%に落ち込んだ。
ファーウェイに部品を提供してきたサプライチェーン企業も多くが大打撃を受けた。しかし、ファーウェイ製携帯電話の供給が再開されたことで、サプライヤーは再浮上に希望を持つようになった。
ファーウェイ常務取締役である端末BG(ビジネス・グループ)最高経営責任者(CEO)の余承東氏は9月25日に実施した同社の秋の全シーン発表会で、「ファーウェイが先鋒計画を展開して以来、(製品は)消費者に愛顧され、現在は(提携企業なども)残業をして緊急生産を行っている」と述べた。
中国メディアの界面新聞によると、注目を集めているファーウェイの衛星通信や近距離無線技術の「星閃(NearLink、ニアーリンク)」などの革新的技術に関連するサプライヤーだけでなく、光学、パネル、構造部材などの企業が生産を加速させている状態だ。
ファーウェイにとってのサプライチェーン企業である信維通信は、受注量が増えたので23年下半期には同社がフル稼働の状態になったと説明した。
また華力創通は9月5日の時点で、「某顧客」から同日までの過去12カ月間で受けた注文は、昨年の売上高を50%上回る約2億1000万元(約43億円)に達したと発表した。また同社は「某顧客」とは過去3年間、同様の取り引きは行っていないとも表明した。市場では、華力創通が言及した「某顧客」はファーウェイだとの見方が出ている。
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのアナリストであるラム氏は、「供給に問題がなければ、Mate 60 Proの販売台数は少なくとも700万台を超えるだろう」との見方を示した。
天風国際証券の郭明基アナリストは、ファーウェイのMate 60 Proは需要が予想を上回ったとして23年下半期の出荷予測を20%上乗せして約600万台とした。24年については、ファーウェイは新型の上位PシリーズとMateシリーズを売り出し、部品調達量も3000-4000万台分になると見積もった。
ファーウェイの携帯電話新機種については、オンラインショップが予約の受け付けを停止したり、実店舗では受け取りが来年になる状況が発生している。そのためファーウェイの新機種携帯電話の販売台数を決定する要因は部品の供給との指摘も出ている。
ファーウェイからの大量発注を受けたことで、サプライヤー企業では「残業に次ぐ残業」による対応に追われている。落ち込んでいた売上高を埋め合わせることが可能になった企業経営にとっての「干ばつに慈雨」の状態だが、サプライチェーンにとっては、目先の利益にとどまらない大きな状況が出現しつつあるとの指摘がある。これまでファーウェイ製携帯電話が「後退」したことで発生した、サプライヤー企業の「アップル頼み」の状況が解消される可能性が出てきたからだ。
アップル社は世界で590社以上のサプライヤー企業と取り引きしており、iPhone(アイフォン)関連では中国大陸部の企業349社と取り引きしているとされる。また、同社にとっての主要サプライヤー200社のうち、140社が中国大陸部で操業している企業だ。
アップルに部品などを供給できれば、より大きな利益を得られるとされる。そのため中国大陸部のサプライヤーの間ではアップルへの依存度が高まった。ただし、アップルとの契約にはハイリスク・ハイリターンの傾向が強かった。アップルは同一の部品について複数の企業と契約し、サプライヤーが何らかの点でアップル側の要求を満たせなければ、契約を打ち切られる可能性が高いからだ。
過去には、アップルから「干された」ことで業績が急降下して、存亡の危機に立たされたサプライヤーもあった。しかしこれまでは、アップルの膨大な発注数に応じられる生産国は中国しかなく、中国国内の産業全体としては、アップルに依存することが安定成長に結びつくという利点があった。
ところが最近では、アップルが部品などをインド企業から調達する動きが鮮明になり、数年後にはインド企業からの調達率が25%程度に達すると見られている。つまり中国企業であるサプライヤーは、アップルに契約を打ち切られるという、会社の運命に直結する事態に直面する可能性が高まっていくことになる。
そんな中で、ファーウェイの携帯電話事業の復活は、サプライヤー企業にとって極めて喜ばしい状況だ。しかも、ファーウェイはアップルと同様にハイエンド機種を手掛けているために、サプライヤー企業はこれまでに培ったノウハウを生かして競争力を維持することができ、もちろん十分な利益を得ることができる。
またファーウェイは米国の圧力を受けたために、部品の国産化を強力に推進している。つまり中国国内のサプライヤー企業にとっては、より望ましいビジネス環境が出現したことになる。また、中国国内でのサプライヤーに不足する分野があれば、業界全体としてその部分を「補修」する力学が働くと考えられる。つまり、ファーウェイの復活とアップルによる部品調達のインド・シフトは、中国の携帯電話製造業全体の状況を安定させ、さらに体質強化の相乗効果を生み出す可能性があると考えられる。(翻訳・編集/如月隼人)
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