Record China 2023年8月25日(金) 19時0分
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東京電力福島第一原発の処理水海洋放出は「心配ない」と投稿した中国専門家のSNSアカウントが封鎖された。写真は上海の日本料理店が公表した仕入れ証明書(日本産の食材を使用していないことを説明)。
台湾メディアの三立新聞網は25日、東京電力福島第一原発の処理水海洋放出は「心配ない」と投稿した中国専門家のSNSアカウントが封鎖されたと伝えた。
放射線に詳しい専門家で、中国原子能科学研究院で8年、オランダのエネルギー研究センター(ECN)核エネルギー部門で5年勤めた李剣芒(リー・ジエンマン)氏は24日、中国のSNS・微博(ウェイボー)に「この問題について私は少し知識がある」として、自身の見解を論じた。
同氏はまず、「一次冷却水と二次冷却水は異なり、二次冷却水は希釈すれば安全に海に流せる。福島の排水は一次冷却水だが、ろ過してトリチウム以外の放射性物質を取り除くことで二次冷却水と同じとなり、含まれる放射性物質はトリチウムが主になる」と説明した。
その上で、「福島の処理水に含まれるトリチウム量は900TBqで30年にわたって排出されるため年間の排出量は30TBq程度。世界で最もトリチウムを排出しているのはフランスのラ・アーグ再処理工場で年間1万1400TBq、福島で排出される量の400倍近い。中国の大亜湾原子力発電所でも、国家原子力安全局が設定した排出上限は(年間)225TBqで福島の約8倍だ」と指摘。「そのため、福島から排出されるトリチウムの総量は心配するに値しない」と述べた。
また、「年間の排出量のほか排出密度も一つの指標だが、福島の処理水は1リットル当たり1500bqにまで希釈する。日本の飲用水の国家安全基準は6万bqであり、つまり日本の飲用水基準の40分の1にまで薄めて海に放出するということだ」と説明。「希釈した水が安全なら飲めばいいという人もいるが、希釈に用いるのは海水であり、人間は海水を飲むことはできない。下水を処理すれば人体に害のないものにできるが、それをそのまま水道から流して良いわけではないのと同じことだ」と論じた。
同氏はさらに、「日本人は信用できないという人もいるが、日本人を信用する必要はなくIAEA(国際原子力機関)を信用すればいい。IAEAは福島の処理水放出について専門家チームを結成して監督しており、すでに各国で独立したサンプル検査が行われている。結果はIAEAのウェブサイトに掲載されており、不安な方は読んでみるといい」とつづった。
ところが、この投稿はネットユーザーらから「売国奴」などと猛烈な非難を浴び、その後、同氏のアカウントは封鎖された。三立新聞網の記事は、「中国原子能科学研究院で8年、オランダのエネルギー研究センターで5年勤め、『華人100大公共知識分子』の一人にも選ばれたが、まさか自分の専門に関する文章でアカウントを消されることになるとは、思いもしなかったことだろう」と伝えている。
なお、同氏のアカウントが封鎖されたことを「残念」と紹介したブロガーの投稿には、ネットユーザーから「立場を論じるだけで科学は論じない。科学を論じても彼らには分からない。国民の素養の向上が待たれる」「これがもしロシアが排出していたら…」「聞きたいのは、なぜ口を封じるのかということ」「この件を通じて真相を確認した。街でケンカがあって一方が相手の口をふさいで周囲の人にその言葉を聞かせないようにしていたら、どちらが正しいかは一目瞭然だ」などのコメントが寄せられている。(翻訳・編集/北田)
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