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中国取り巻く「貿易環境」が変化、米国は「最大の取り引き相手」とは言えない状況に

Record China    2023年7月17日(月) 22時0分

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中国は長年にわたり米国が輸入する商品の供給国だったが、米国側統計によれば、メキシコが中国を抜いて最大の供給国になった。その他にも、中国を取り巻く「貿易環境」は変化しつつある。

中国は長年にわたり米国が輸入する商品の供給国だったが、米国側統計によれば、メキシコが中国を抜いて最大の供給国になった。その他にも、中国を取り巻く「貿易環境」は変化しつつある。

統計により結論は違っても、貿易構造の変化は確実

米商務省によれば、2023年1-5月の米国の中国からの輸入額は前年同期比24%減1686億ドル(約23兆4000億円)だった。米国の輸入額全体に占める中国からの輸入額の割合は前年同期よりも3.5ポイント低下した13%だった。一方で、米国のメキシコからの輸入額は前年同期比5%増 の1950億ドル(約28兆円)で、輸入額全体に占める割合は1ポイント上昇の15%だった。

米国と中国では貿易統計の方法に違いがあり、中国側によると、米中貿易は落ち込んではいるものの、23年1-5月も中国は米国に最も多くの商品を輸出している国だ。

中国と米国で貿易統計の数字が異なる理由は主に二つだ。まず米国は輸出額をオフショア貨物の価格で計算し、輸入額を着岸貨物の価格で計算する。着岸価格で計算した場合とオフショア価格で計算した場合では、運賃や保険料などで差が生じる。また、中継貿易でも双方の数字に違いが生じる。例えば、ある商品がシンガポールを経由して米国に輸出された場合、中国はシンガポールへの輸出と見なして統計に組み入れ、米国は原産地規則に従って中国からの輸入として統計を出す。

米中の統計に差はあるものの、両国の貿易がピークを過ぎたことは事実だ。この転換には景気循環、貿易ルール、地政学的要因が複合して作用している。

中国の対米輸出額の減少は先進国の景気循環と合致している。中国から欧州の多くの国への輸出も23年になってから一定程度減少している。中国の米国とEU諸国への輸出が落ち込んでいることには、先進国で利上げが経済成長にマイナスの影響をもたらしていることを反映している。

利上げに伴う借入コストの高騰は、消費と企業の支出を圧迫する。最初に影響が出たのは先進国だが、経済成長の冷え込み圧力は急速に世界全体に波及し、新興市場と発展途上国の経済に悪影響がもたらされる可能性がある。

アジア地域も貿易の落ち込みの影響を受けている。アジアは世界の製造業の中心地であり、世界全体の貿易の状況の影響を受けるのは必至だ。製造業を営む上で、中国の代替地と見なされるASEAN諸国も影響を受けている。23年5月時点で、台湾から米国への輸出は前年同期比9%減、ベトナムの対米輸出は同17%減、韓国の対米輸出は12%減だ。中国から米国への輸出の減少は、中国に特有の事情ではなく、アジア全体の文脈の一部だ。

利上げの影響だけでなく、新型コロナウイルスの影響も続いている。感染症にともなう経済上の影響を受けた先進国の消費者は、以前に比べれば電子製品や住宅内装、その他の消費財への支出をしなくなった。外食や旅行、その他のサービスへの支出は回復しつつあるが、その他の分野に「しわよせ」が発生している状態だ。一部の貿易問題専門家はこの電子製品販売の波動を「エレクトロニクス・サイクル」と呼んでいる。

中国の対米輸出貿易の減少は「エレクトロニクス・サイクル」が衰退期である影響を強く受けている。米商務省のデータによると、日用品や電化製品など幅広い分野で中国製品の輸入量は減少している。半導体の輸入額は半減した。

電子製品の中でチップは重要な部品であり、チップの需要は電子製品の市場を強く反映する。消費者が電子製品の購入を減らせば、必然的にチップの受注に影響を及ぶことになる。中国の貿易データが低調なのはある程度、電子製品の需要が周期的に衰退していることが反映されている。

中国を取り巻く貿易チェーンが再構築

ただし、中国は他のほとんどの新興国との貿易は好調だ。中国から中東や中南米などへの輸出は増加ししている。中国の相手国は、中国からの天然資源関連への投資も好感しており、双方は経済の結びつきを強めていると言える。中国からロシアへの輸出の急増は、両国の密接な関係や、ロシアからの輸入に西側が科した制裁の影響も反映している。中国は新興国市場への安価な電気自動車やスマートフォンの輸出でも成功し、高価な西側先進国の商品を押しのけている。中国は23年第1四半期(1-3月)には日本を抜いて世界最大の自動車輸出国となった。

中国は引き続き世界貿易を主導している状態だ。世界貿易機関(WTO)によると、22年の世界の物品輸出に占める中国のシェアは14.4%で、新型コロナウイルス感染症が発生した前年の19年の13%を上回った。22年には、世界の商品輸出総額の8.3%を米国が占め、6.6%をドイツが占めた。

「中国抜き」のサプライチェーンは是か非か

もう一つ注目すべきことは、中国と米国が新たな貿易秩序を構築しようとしている製造業の中心であるメキシコの貿易額が23年に増加傾向を維持していることだ。

ここ数年来、多くの中国企業がコスト上昇と関税の影響でメキシコに工場を建設するようになった。メキシコに建設された工場は、現地での調達率を徐々に拡大しているが、多くの重要部品は依然として中国から輸入せねばならないために、液晶パネル、電話機、自動車部品などが中国からメキシコに多く輸出されるようになった。こうした中国からの輸入部品は、メキシコで完成品に加工されて米国に輸出されている。

間接的な輸出は「中国からの輸出の実情」を分かりにくくしているが、米国には、中国は原産地規則の抜け穴を利用して関税を回避しているとする見方がある。米国のトランプ前政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の改訂に動いた理由の一つは、従来のNAFTAでは原産地規則が緩く、北米外からの、特に中国からの輸入の増加を容認していることだった。米国はその他にも、中国からの間接輸入の抜け穴をふさごうとする規制措置を次々に実施してきた。

米国がバイデン政権に交代しても環太平洋経済連携協定(TPP)に戻らなかったのも、米国から見ればTPPの原産地規則は緩く、中国がTPPのメンバーでなくても、中国製の部品などを多く含む製品が免税で米国に入ることができるからだった。米国の政策立案者は、TPPは中国への依存を減らすのではなく増やすことになると考えて、TPP入りを取りやめた。

キャサリン・タイ米国通商代表は最近になり「コストと効率を優先する貿易ルールは、いかなるものでも最終的な受益者が中国になる。新たな貿易システムは安全保障など他の要素を考慮した上で構築され、サプライチェーンへの中国への依存を徐々に切り離していくべきだ」と述べた。

一部のエコノミストは、今後数年間は世界貿易の増加ペースが世界経済の成長ペースを下回ることで、長年にわたる世界経済の統合の流れが反転し、世界の貿易が打撃を受けると考えている。国際通貨基金(IMF)は最近の報告書で、豊かな国からの投資先が他の先進国に移行する流れが強まり、経済発展のために外国からの投資を必要とする途上国にダメージを与えると予想した。

中国からの製造業の移転のために、一部の発展途上国は利益を得るとの見方もあるが、エコノミストの間では、さまざまな壁が自由貿易全体に悪影響をおよぼすとの懸念が広がっている。オックスフォード・エコノミクスの駐シンガポールシニアエコノミストのアレックス・ホームズ氏は、現在の貿易構造の転換が世界のGDPに、全体的にマイナスの影響を及ぼすとの見方を示した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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