2023年2月21日、中国メディアの成都商報によると、人気集めのために農村で慈善行為を偽装し動画を公開していたインフルエンサーが当局に身柄を拘束された。

記事によると、近頃あるショート動画のインフルエンサーが「お年寄りに慈善活動を行った」とする動画を公開し、動画では高齢の女性に「これを受け取ってください」と言いながら現金3000元（約5万8600円）を手渡す様子が映っていた。動画が撮影されたのは四川省涼山イ族自治州西昌市にある農村だという。

しかし、インフルエンサーは撮影時に渡した現金3000元のうち2800元（約5万4700円）を、撮影終了後に回収していたという。当事者の高齢女性は「これまで何度も（インフルエンサーが）家を訪れ、衣服やミカンなどをくれたが、初めて来た時には撮影に必要だから500元（約9800円）借りてくれと言われた。そこで400元（約7800円）を借りて、撮影が終わったら返却した。言葉が通じないので、一体何のために撮影をしていたのか分からないままだった」と語ったという。

さらに「慈善行為」の動画では、村に住む姉弟が毎日山に入って薪を背負いながら戻ってくる生活をし、貧しいためにジャガイモしか食べられない上、戸籍がないために勉強がよくできるのに学校に行けないと紹介されるシーンがあったものの、実際には2人ともちゃんと学校に通っていることも判明。姉は「撮影ができれば、服やお金が手に入る」とインフルエンサーに言われて撮影に協力し、インフルエンサーから500元をもらったものの、撮影が終わると300元（約5900円）が回収されたことなどを暴露した。

記事は、現地住民の多くがこのインフルエンサーの撮影した動画について、再生数稼ぎのための自作自演だったと認識しており、同州の関係当局も調査を実施した結果、動画の内容に虚偽内容があることを確認したと紹介。20日にはすでにアカウントが凍結されて動画の検索や閲覧ができなくなったほか、公安当局もこのインフルエンサーに対し行政拘留処分を下した上でさらに捜査を進めていると伝えた。（翻訳・編集/川尻）