Record China 2023年1月29日(日) 11時20分
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寧徳時代(本社・福建省寧徳市)がドイツ・チューリンゲンに建設した巨大工場が本格稼動を始めた。関係者は欧州と中国の緊張は「一時的雑音」と述べた。写真は寧徳時代の本社ビル。
ドイツ・チューリンゲン州で26日、電気自動車(EV)用電池製造で世界最大手の寧徳時代(本社・福建省寧徳市)が建設した同社初の海外工場が本格稼動を始めた。寧徳時代で7年間にわたり働いてきたドイツ人であるマティアス・ツェントグラーフ欧州地区社長は、欧州には中国経済への依存を懸念する声があることなどについて「緊張は一時的な雑音」と述べた。ドイツ・メディアのドイチェ・ベレが伝えた。
欧州の自動車メーカーが中国製の電池を使うことは珍しくない。しかし、重量がある電池を遠路はるばる運ぶので、輸送コストが大きくなる問題があった。ドイツのチューリンゲンで製造された電池を使うことで、輸送コストは大幅に軽減される。
寧徳時代のチューリンゲンの工場での生産量は、2024年初頭に最大生産能力である年間3000万個に到達する見通しだ。電気自動車18万5000台から35万台の需要に対応できる個数という。寧徳時代は現在、生産能力をさらに70%引き上げる申請をしているという。
26日の正式操業開始式典で、チューリンゲンのボド・ラメロブ知事は同工場について「西欧ではこれまで見られなかった巨大規模」と評した。寧徳時代のマティアス・ツェントグラーフ欧州地区社長は、同工場の建設のために18億ユーロ(約2500億円)を投じたと説明。また、同社はハンガリーでさらに大きな工場を建設中で、将来はチューリンゲン工場と相補的関係を構築すると説明した。
BMWなど欧州の老舗自動車メーカーもすでに、寧徳時代製の電池を使っている。自動車メーカー側は電池の自主生産を行う計画だが、進捗状況は寧徳時代の動きに比べて大きく遅れている。ドイツ自動車工業会(VDA)は寧徳時代のチューリンゲン工場が自動車用電池の本格的量産を始めることを歓迎し、欧州の政界に向けて、このような工場をドイツだけでなく欧州全体に多く誘致するための環境整備を呼びかけた。
寧徳時代がチューリンゲンに工場用用地約70ヘクタールを確保したのは18年で、新型コロナウイルス感染症の影響で、当初予定よりも数カ月遅れて22年秋に小規模な試験操業を開始した。
ツェントグラーフ社長は、試験操業期間には同工場には約800人の従業員がいたが、うち約400人が中国人だったと説明した。生産力の増強に伴い、同工場はさらに2000人近くを採用する見通しで、今後に採用する従業員は主にドイツ現地で募集するという。ただし、従業員中の現地採用者の比率について、ドイツ連邦政府やチューリンゲン州政府から要求は受けていないという。
ドイツ・メディアは最近になり、チューリンゲンの地元警察や税関が1月中旬、250人以上を出動させて寧徳時代の工場を捜査したところ、同工場には不法雇用、不法滞在、ビザの偽造の問題が存在する疑いがあると分かったと報じた。しかし地元警察も最終的には、同工場に関連して重大な問題は存在せず、外国人管理法に対する違反があっただけと判断した。
ツェントグラーフ社長は、22年10月に一部従業員の在留ビザの期限が切れていたことを確認したことは事実だが、その後は再発防止に取り組んできたと説明した。
欧州では、中国経済への依存度を低下させるべきとの主張もある。ツェントグラーフ社長は、寧徳時代は、ドイツでの工場建設でサプライヤーにも顧客にも多様性をもたらすことを追求していると説明。さらに、取り引き先はドイツの業者でも、中国の業者でも、その他の国の業者であってもよいと主張した。
ツェントグラーフ社長はまた、中国の船会社である中遠が最近になり、ドイツのハンブルグ港に出資したことで、多くの人が「これはやるべきこと、これはやってはならないこと」と細かく発言するようになったと指摘し、現実世界はすべてが自分の思い通りになるものではないとして、「われわれのような中国企業も、一晩で撤退したり、一晩で全てを手に入れたりはできない」と論じ、さらにEVは大きな時代の流れのなかで、優秀な電池を必要としていると述べ、生産力と研究開発が寧徳時代の強みと主張した。
ツェントグラーフ社長は、中国と西側の緊張は「一時の雑音」に過ぎず、現在はすでに、多くの緊張緩和の兆しが出現していると説明。さらに「私どもは企業として頑張っていきます。部下にはいつも『自分の仕事を立派にやり遂げろ。われわれはここで電池を生産するのだ』と言っています」と述べた。また、政治的なことに大きな精力を費やしたくはないという。
チューリンゲン州のヴォルフガング・ティーフェンゼー経済相は26日の正式操業開始式典で、寧徳時代の新工場について「全く新しい方式による欧州と中国の協力」と述べた。チューリンゲン州は同工場の近くに電池技術開発センターを設立して、工場側と科学研究での協力を行うという。(翻訳・編集/如月隼人)
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2023/1/27
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