Record China 2014年7月5日(土) 11時56分
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香港の民主派指導者で支聯会主席や香港立法会(議会)議員を務める李卓人氏は「われわれは香港から運動を通じて、中国の一党独裁を終わらせる民主化と改革を進展させたい」とコメントした。写真は「運び屋」。2枚目は林立する香港のマンション群。
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香港の民主派指導者で支聯会主席や香港立法会(議会)議員を務める李卓人氏は「習近平政権になって香港や中国で言論の自由が一層阻害され、香港に対する中国共産党政権の圧力はますます強まっている。われわれは香港から運動を通じて、中国の一党独裁を終わらせる民主化と改革を進展させたい」とコメントした。
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香港の外交筋は「中国返還後の香港では、一般市民の生活はますます苦しくなっている。中国による香港の間接支配はますます露骨さを増しており、多くの民衆は中国に強く反発している。それは生活に根ざしたもので、運動の大きな原動力になっているのも事実だ」と述べて、香港では返還後、中国による経済支配が強まっており、香港の反中気運の高まりが運動支援のネットワーク強化の一因になっていることを明らかにした。
▼高騰する不動産
例えば、香港の平均的なマンション価格は2005年時点では1平方メートルが4万4000香港ドル(約70万円)だったものが、今年に入って2倍以上の11万香港ドル(176万円)に上がっており、約60平方メートルのマンションでも日本円で“億ション”となる。豪華マンションはその2倍は軽くする。
いま香港ではセントラル地区から地下鉄で5駅から10駅の地区ではマンションの建て替え工事が頻繁に行われている。「その結果、ある程度安かったマンションが高層の高級マンションになり価格が大幅に上昇。元々の香港住民は手が出ず、遠隔地域に引っ越しを余儀なくされるなど、香港の端っこに追いやられる現象が起こっている。さらに、資産がない青年層はマンションを買えず、結婚できない現象も深刻だ。おまけに、建て替えられた高級マンションを大陸の富裕層が投資目的で買い占めるなど、香港市民は不満を高まらせ、不安を募られせている」と同筋は解説する。
また、香港には大陸から富裕層ばかりでなく、多数の中国人観光客が押しかけおり、大陸では買うことができない幼児用の粉ミルクや外国製のおむつなどを買い占めて、大陸で売るという「運び屋」が出没。このため、香港で粉ミルクやおむつなどが不足するという珍現象が起きている。
▼イナゴと揶揄される運び屋
筆者は香港滞在中、広東省深センに接する羅湖駅から中国に入境したが、羅湖駅の一駅前の上水駅で、大型のリュックサックやキャリーバッグに手提げ袋を持った10人くらいの集団が電車に乗り込んできたのを目撃した。なかには、キャリーバッグのほかに、大きなおむつの包みを3つも抱えている女性もいた。彼らは羅湖駅で下りて、香港の税関を抜け、深セン駅から中国に入国し、待っていた車に荷物を積むと、どこともなく消えていった。
香港ではこれらの“運び屋現象”を揶揄した「イナゴ駆逐行動」が盛んだ。彼らが通り過ぎると、そこに大量にあったはずの商品が消え失せしまう現象がみられ、イナゴの大群が通り過ぎたあとを連想させることからついた名前だ。休日の香港の繁華街で、「イナゴは香港から出て行け!」「自分の国を愛せよ。中国人は中国の製品を買うべきだ!」「中国人は中国のミルクを飲め!」など音楽に合わせて叫び、100人以上の香港人が気勢を上げるのだ。彼らは時々、毛沢東の写真を掲げ、赤いカバーに覆われた「毛沢東語録」を振りかざし、中国の国歌「義勇軍行進曲」を歌うなど、「愛国(中国)、愛港(香港)」をスローガンに掲げて、愛国を装って中国を批判する。つまり“パロディ・デモ”なのだ。
▼中国人観光客のビザ制限も
このような一般の香港市民の激しい反発から、香港政府トップの梁振英・行政長官は今後、中国人観光客に与える観光ビザを制限し、年間で20%減少させることを提案したが、それでも年間3200万以上の中国人が香港を訪れることになり、いずれにしても焼け石に水の状態だ。
「それ以上に、いまの香港経済は中国に頼っているのが実情だけに、香港政府も有効な手が打てず、無為無策のまま習近平指導部の言いなりになっている状態だ」と同筋は指摘する。
このような政府の対応に多くの市民は不満を抱いており、セントラル占拠運動の火種となっているのも事実。それだけに、強制的に運動参加者を排除すれば、ますます運動が激しさを増すことが予想される。さりとて、軍導入の事態となれば、89年6月の天安門事件のように、流血の事態になるのは必至だけに、事態をじっと注視しているのは、香港政府よりも北京の習近平最高指導部であるのは間違いない。
◆筆者プロフィール:相馬勝
1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。
著書に「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)など多数。
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