華為技術（ファーウェイ）はこのほど、2022年第1－3四半期（1－９月期）の経営業績を発表した。四半期ごとの売上高では、前年同期を上回る傾向が、さらに鮮明になった。

中国では経済関係の数字について、単月や四半期などの個別の期間についてのまとめではなく、年初来の数字が発表されることが多い。ファーウェイも業績については基本的に、第1四半期、上半期、第1－３四半期、通年と、四半期ごとの年初来の数字を発表している。

10月27日に発表した22年第1－3四半期についての経営業績では、対象期間の売上高を4458億元（約9兆600億円）とした。同社の徐直軍輪番会長は発表について「相対的に経営の結果は予想通りだった。端末業務は後退の速度が鈍化しつづけている。ICTインフラ事業は安定した成長を維持した。ファーウェイは引き続き、優秀な人材を受け入れ、研究開発への投資を続け、製品の競争力を高めることで、顧客や社会のために価値を創造していく」と説明した。

ファーウェイは事業全体を大きく、通信事業者向け業務、企業向け業務、端末業務に三分している。通信事業者向け業務には、通信事業者が必要とする基地局建設などがある。企業向け業務とは通信事業者以外の企業に対する製品販売やソリューションの提供だ。特に注目されている分野としては、鉱業企業のためにデジタル技術を駆使することで坑内の人員削減や無人化を目指す事業や、自動車製造会社にデジタル技術を提供する事業などがある。

また、22年4月にはそれまでの消費者向け事業を端末事業に変更した。消費者向け製品だけでなく、顧客を政府や企業などとする商用端末製品にも同様に力を入れていく方針だ。

8月に発表された22年上半期（1－6月）の業績では、通信事業者向け業務の売上高を前年同期比4．2％増の1427億元（約2兆9000億円）、企業向け業務は同27．5％増の547億元（約1兆1100億円）、端末業務は同25．4％減の1013億元（約2兆600億円）だったとした。企業向け業務はまだ規模が小さいので端末業務の「目減り」を埋め合わせるには至っていないが、伸び率は大きかった。

ファーウェイは社内に、炭鉱やスマート道路、スマート太陽発電など、業務の対象を特化した「軍団」と呼ばれる組織を設立している。いずれも有望視している分野であり、同社の三大業務分類の中では企業向け業務に分類できる場合が多い。なお「軍団」との名称は、対象分野となる業界でのニーズの掘り起こしから研究開発、営業、アフターサービスなどに一環して取り組むことを示すものだ。軍組織の「自己完結性」になぞらえただけで、業務内容が軍事に関係するわけではない。

ファーウェイが発表した第1四半期、上半期、第1－３四半期という年初来の数字に基づいて各四半期の売上高を計算したところ、22年第1四半期（1－3月）の売上高は前年同期比13．9％減の1310億元（約2兆6600億円）、第2四半期（4－6月）は同1．4％増の1706億元（約3兆4700億円）、第3四半期（7－9月）は同6．5％増の1442億元（約2兆9300億円）だったことが分かった。

同社の四半期ごとの売上高は22年第2四半期には前年同期比で「減」から「増」に転じ、第3四半期には「増」の傾向がさらに強まった。（翻訳・編集/如月隼人）