Record China 2022年10月9日(日) 14時0分
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中国で「第二次カフェ革命」が進行中だ。キーワードは「価格破壊」と「地方の小都市への進出」という。
中国では、「第二次カフェ革命」が進行中だ。低価格路線が進み、それに伴って消費水準が低い地方都市での店舗展開が加速しつつある。中国では都市が、その経済規模や影響力により「1線都市」「2線都市」のように分類されているが、4線都市と5線都市では今年5月におけるコーヒーの注文件数が前年同月の3.5倍以上になったという。
都市の分類は厳密に定義されているわけではなく、各研究機関などが発表を続けている。どの発表も大きな違いはなく、「1線都市」は通常、北京、上海、深セン、広州と、経済規模がトップクラスで全国に対する影響が絶大な都市を指す。「2線」「3線」と数字が大きくなるにつれランクは下がる。「4線都市」は例えば山西省大同市、青海省西寧市のように、経済や社会の発展の度合いは中程度で、中小企業などは拠点を置くことに魅力を感じる都市、といった位置づけだ。
コーヒーは長期にわたって、中国人にとっては身近な飲み物ではなかった。ネスレは1989年に、小さな袋に1杯分のインスタントコーヒーと粉末ミルク、砂糖が入っている商品を売り出したが、多くの人にとってコーヒーは、「自分の地位が高い」ことを感じさせるような、特別な飲み物だった。
中国人にとってコーヒーが生活の場に近づいたのは、1999年のスターバックスの中国進出だった。中国人は初めて「挽きたてのコーヒー」の味を知った。ただしスターバックスのコーヒーは高価であり、「スタバのコーヒーを飲めれば、上流階級への仲間入り」などと言われた。
その後、中国に進出する外国のコーヒーチェーンは増加した。しかしスターバックスは圧倒的に優勢で、2017年時点で中国市場で占めるシェアは51%だった。しかし同年に営業を始めた中国資本のコーヒーチェーンである瑞幸(ラッキンコーヒー)は、低価格攻勢をかけたこともあり店舗数を急増させた。ラッキンコーヒーの場合、飲み物の価格帯はおおむね20-30元(約400-600円)の範囲だ。スターバックスもほぼ同様の価格帯になった。中国のカフェ業界にとっては「第一次革命」だった。
スターバックスの「上陸」から20年余りを経て、中国の大都市ではすでに、カフェ店舗が「飽和状態」になった。上海市のカフェ店舗数は8000店を上回り「世界で最もカフェが多い都市」になったという。さらにチェーン展開するコンビニエンスストアも「挽きたてのコーヒー」を提供するようになった。
中国のカフェ業界に「第二次革命」をもたらしたのは、1997年創業の「蜜雪氷城」だった。同社はアイスクリームや茶類を提供する外食店をチェーン展開していたが、2000年4月にカフェチェーンの「幸运咖」の展開を始めた。コーヒー1杯の価格は3-8元(約60-163円円)とさらに安価だ。同チェーンは22年1-3月期時点で、店舗数を636店にまで増やした。うち7割が黒字で、年間売上高が100万元(約2040万円)を越える店も存在するという。なお、コーヒー豆はアラビカ種とロブスター種に二分される。一般的に、風味などの点でアラビカ種の方が優良だが、高価だ。「幸运咖」はアラビカ種使用を謳(うた)っている。
「幸运咖」以外にも「価格破壊」に取り組むチェーンが数多く出現している。この状況に付随して、平均的な消費能力が大都市に及ばない「4線都市」や「5線都市」でのカフェ出店が急増した。飲食店の予約サービスなどを提供する美団(本社・北京市)の調べによると、中国大陸部のカフェ店舗数は5月時点で11万7300店に達した。特に「4・5線都市」での注文数は前年同月の3.5倍以上に達した。
市場調査会社の艾瑞諮詢(iリサーチ)は中国のカフェ市場は高度成長期にあり、21年には3817億元(約7兆8000億円)だった売上高は、25年には1兆元(約20兆4000億円)を超えるとの見通しを明らかにした。全世界におけるコーヒー消費の年間伸び率は2%程度だが、中国では15%-30%に達するという。
これまでは高級志向が強かったスターバックスも割引特典を設けるなどで、地方都市での展開に関心を示している。
中国において、カフェの「田舎進出」が比較的急速に進んでいるのは、江蘇省、浙江省、さらに上海市の郊外地区といった、経済面で比較的発達している地域だ。この状況は、中国のカフェ業界にとっては「広大な未開の地」が残されていることを意味する。中国におけるカフェ店舗数の増加は、かなりの長期にわたって持続すると考えることができる。(翻訳・編集/如月隼人)
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