アジア新興国経済、堅調を維持=中国経済の急減速、地域の近未来を左右―浅川アジア開銀総裁

Record China    2022年8月20日(土) 5時0分

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アジア開発銀行の浅川雅嗣総裁が日本記者クラブで「アジア経済」をテーマに記者会見。欧米や日本などの先進国や他地域の新興国が軒並み超低成長に陥る中で、アジア新興国は堅調を維持すると語った。

アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)の浅川雅嗣総裁がこのほど日本記者クラブで「アジア経済」をテーマに記者会見した。浅川総裁は、アジア新興国の2022年の国内総生産(GDP)成長率は4.6%と予想した。欧米や日本などの先進国や他地域の新興国が軒並み超低成長に陥る中で、アジア新興国(中国やインド、東南アジア各国など46カ国・地域を含む)は堅調を維持。「世界の成長センター」として期待できるという。

こうした中、域内最大の経済大国・中国は2030年代には米国を抜き、世界最大の経済大国になると予想されている。この超大国の動向次第で、アジアの近未来は大きく左右される。

浅川氏は財務省財務官(国際担当次官)を歴代財務官として最長の4年務めた後、2020年1月に第10代ADB総裁に就任した。

ADBは7月下旬、アジア新興国(46カ国・地域)の2022年の成長率見通しを4月時点の5.2%から4.6%に引き下げた。浅川総裁はその理由として中国経済の減速を指摘。「ゼロコロナ」政策の下、上海など大都市で封鎖措置(ロックダウン)をを実施した結果、中国の生産・消費が減速。サプライチェーンを介してアジア全体に打撃を与えたと分析した。

中国の22年の経済成長率は21年の8.1%から急減速、4.0%に落ち込むと予測した。浅川総裁はその背景として、少子高齢化や環境対応、社会福祉負担などの構造的要因を挙げた。ゼロコロナ後についても、「年7~8%台の成長に戻るのは困難」と分析した。

このほか、アジア域内新興国にとって「インフラ支援への中国の過剰な貸し付けも重荷になる」と指摘。特に経済危機のスリランカは債務再編に中国の協力を引き出せるかが焦点となるという。中国が債権整理で共同歩調を取り、「透明性を伴って情報開示し、どう関わるか。うまくいけば初めて中国を(債務減免の枠組みに)引き込むことができる」と言明。「(中国が)責任ある大国と認められるための試金石になる」と期待した。

中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、コロナ禍ではアジア開発銀行や世界銀行との協調融資で、財政支援にも柔軟に応じてきたと指摘。ウクライナ危機に伴う食糧危機などでも、同様の役割を果たすよう中国に促した。

22年の経済成長率予想を地域別で見ると、東アジアは3.8%と予測し、前回予想より0.9ポイント下方修正した。南アジアは前回予想より0.5ポイント下げ6.5%と予測した。インドの成長率を0.3ポイント下げ7.2に引き下げたほか、スリランカが経済危機に直面していることも影響した。東南アジアはほぼ横ばいの5.0%と予想した。(八牧浩行

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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